| 結局ツォンはそのまま神羅に留まることになったわけだが、その間といえば、特別ルーファウスが何かを挑んでくるなどということは無かった。つまり、あの宣戦布告はやはり言葉だけであって行動を伴わないものだったのである。それはそれで話が違うとも思ったが、何も無いなら無いで面倒ではないから良いとも思う。が、それでも現状神羅に留まっている事自体があまりにも理不尽で、ツォンは何度となく新しい辞表を書こうかと思ったものである。 でも、それは出来なかった。 何だかんだと仕事が忙しくなり、色々な事件が起こり、自分はその中でタークスのトップにまで登りつめ、今更それを放ってどこかに行くことはできなくなっていたのである。あのルーファウスの宣戦布告の一件以降忙しくなった仕事のせいで、あまり自分自身の身の回りに気が回らなくなっていたツォンは、いつの間にか伸び切ってしまった髪をそのまま自分のトレードマークのようにしていた。 女性の中には、髪に願掛けなどをする人がいるらしいと聞いたことがある。だとしたらこれは、それと同じなのかもしれない。あの願いが却下された日から延ばされた髪は、いつか願いが叶ったらまたスッパリと切ろう、そう思っていた。その時には本当にやり直しをする為に。 そうして時間を重ねていくと、いつの間にか忘れていたルーファウスの存在が段々と近くなっていった。それを近いと感じたのはルーファウスが実際に副社長という地位につき、タークスに関わるようになってからのことである。 その頃にはもう、ルーファウスはあの宣戦布告など忘れているふうだった。物言いは相変わらず自信ありげでどこか鼻についたが、それでもさすがに副社長という風格は備えている。 あの宣戦布告の時にルーファウスが口にした、部下、という言葉は、もう既にその状況そのものになっていた。ツォンは部下でしかなく、ルーファウスは完璧に上司である。その構図は完璧なもので会社組織図上絶対に崩せないものなのだから、これはもう既にあの宣戦布告が完璧に成就したということを示しているだろう。 しかしそれでも、ルーファウスはあの言葉を忘れているふうだったから、ツォンに対して退職云々の話を振り掛けることはない。それはあの社長にしても同じことで、会社のことで頭がいっぱいであることもあるせいか、そんな事は微塵も触れてこなかった。それはツォンにとってどこか腑に落ちない状況だったが、ツォンとしてもタークスを放るわけにはいかず、結局これは最初から退職などは叶わないということなのだろうといつの間にか諦めが定着したものである。 きっと、神羅から逃れることはできない。 あの、言葉でしかない宣戦布告の為に自分の人生はもう決まってしまったのだ。 そう思うと時折ふっと、ルーファウスの事が浮かんだ。 どうしてあの時あんなことを言ったのか、それは今でも良く分からない。聞いてもいないのだから当然だろうが、それにしても検討すらつかないのである。それでもルーファウスの一言が自分を抑えることになったのは確実なことで、それからすればツォンはあの宣戦布告の意味を知る権利があった。 しかしそれを聞くタイミングは伸びに伸び、そんなふうに伸ばし伸ばしにしている内に、遂には神羅が滅んでしまったのである。 そこから先も、随分と長かったように思う。 何だかんだと支い合いながらやってきた。 あれだけ理不尽だと思ってきたことも、いざ神羅がなくなってしまうと妙に物悲しく思えた。きっともう自分を縛るものは何もないのだと分かっていたが、それでもツォンは自らルーファウスの傍に残り、その人のサポートをし続けたのである。 その人が苦しそうな時には、自分も苦しい気がした。 その人が笑う時には、自分も笑った。 その人が悲しそうな時には、どうして良いか分からないながらも励ました。 それはとても不思議な感覚だった。 不思議だったけれど、ルーファウスと出会ってから初めて、ツォンは自らその人を知りたいと思ったのである。今までは理不尽で腑に落ちなくて、それに忙しくて、そんなことは思ったりしなかった。それなのに今更こんなふうに思うのは何だかおかしな事だったが、知れば知るほどその人は何だか妙なものをツォンに与えてきたのである。 自信ありげな言葉や態度の裏にある素顔や、本当に笑ったときの無邪気な顔や…今迄全く知らなかったものが、どうしてなのだかツォンに対しては惜しげもなく与えられた。そういう時ツォンはとても新鮮な気分になり、何だかそれが嬉しいような気分になったものである。 いつの間にか、あまりにも傍に来ていた。 きっと、そういうことなのだろう。 あの頃では分からなかったことが、こうして一つづつ溶けていき、そうしてその人自身のことが段々と分かり始める。 そうしてツォンがルーファウスを特別に思うようになった頃のこと、とうとう、あの過去の宣戦布告の意味がルーファウスの口から齎されたのだった。 その時の衝撃を、ツォンは今でも忘れられない。 「父親を見返すため…なんて、何だか少し意外でしたけどね」 ツォンは一瞬の内に巡った回想から戻ると、そんなふうに言ってルーファウスを見やった。ルーファウスは相変わらず剥れたふうにしている。 「あの頃はな、親父があんまりお前を褒めてたから何だか悔しかったんだ…って、前にも言っただろう?」 「ええ、聞きました。けれどプレジデント神羅は私の名前すら出さなかったのでしょう?」 「ああ。新人のタークスとしか呼ばなかった。でも私には直ぐにお前の事だと分かった。ツォンは私の護衛をした事があっただろう?あの時の様子を見ていたら…そんなの直ぐに分かったな」 ルーファウスが過去に告白したことによれば、初めてツォンと出会ったとき、つまり護衛をされた時、その雰囲気がとても新人だとは思えなかったらしい。しかしルーファウスはあらかじめ新人のタークスが護衛に来ることを知っていたのだ。 新人だが出来る男が警護に来る、と、そう言われていたから。 それは私も一目を置いている男だ、と、そう…父親に言われていたから。 「少しでもミスをしたら突付いてやろうと思ったのにお前ときたら完璧にこなすんだからあの時は参ったな。全く飄々としやがって。…でも、私から見てもツォンは出来ると思ったんだ。親父がお前を褒めてたっていうのを抜かしても…な」 ルーファウスは剥れたふうだった顔を元に戻すと、 「本当は少し…ツォンに憧れたのかもしれない、あの時」 そんなことを言った。 静かな公園の中で響いたその声はツォンの耳に入り、ツォンの頬をゆっくりと緩ませていく。こういうふうに言われることは単純に嬉しいことである、しかしそれ以上に嬉しいと感じたのは、それをルーファウスが告白してくれたことだろう。 しかし、今日という日にその言葉をくれるのは反則だろうとツォンは思う。 夜で、静かで、こんな自然の中で、好きな人が傍に居て…そんな雰囲気の中ではつい口を付いてしまう言葉もあるけれど、それでもそんなふうに嬉しい言葉をくれるのは反則だ。 だって…好きだと感じてしまうから。 そんなふうに感じたら、また芯が歪んでしまいそうになる。 「でも私は、お前への宣戦布告に対しては全てを果たしただろう?」 「そうですね」 「だからそれはもう無しだ。その話は無効だぞ」 「無効…なんでしょうかね」 ツォンはゆっくりとそう言うと、ゆらりと揺れた髪を指で払った。 ルーファウスは無効だと言うけれど、確かにそれは終わった話だけれど、肝心な事は残ったままであるように思う。そもそもあの宣戦布告がツォンに齎したものを考えれば、やはりその清算たるものが必要になってくる。それはルーファウスにとってではなく、ツォンにとってもので。 「それにしても、今日は少し風が強いな」 もう既にその話題から脱しているらしいルーファウスは、そんな事を言いながら空を見上げていた。その脇でツォンは、未だに先ほどの話題から脱せ無いでいる。 ―――――――――あの宣戦布告の理由を初めて聞いた時… その時、ツォンは嬉しかった。 あの理由からすればツォンは単に利用されたに過ぎないようにも思えるが、それでもツォンは違う部分に嬉しくなったのである。ツォンばかりを褒め称える父親を見返す為の宣戦布告、それは当然、父親にツォンよりも自分を認めてもらおうという趣旨のものだ。しかしそれは、父親が褒め称えたのが"たまたま"ツォンだったから、ツォンへの宣戦布告ということになったのに過ぎない。要するにルーファウスは、父親が他の誰かを褒め称えていれば、その誰かにそれをしたはずなのである。その観点からするとやはりツォンは、ルーファウスの意地の犠牲になったとしかいえない。その意地の為に、あったかもしれない別の人生がなくなってしまったのだ。 がしかし、ツォンはそんな事よりも嬉しさを感じたのである。 ツォンが感じた嬉しさとは、他でもなく、そのルーファウスの"意地"だった。 ルーファウスの色々な部分を見てきたツォンは、勿論その人と父親の対立時代をもしっかりと目にしてきたものである。そういう部分を見てきたツォンにとって、数年後に齎されたその真実は、とても安心できるものだった。 だって、誰しもがそう思うように――――――…、 ルーファウスもやはり、親に認められたいという欲求を持っていたのである。 それはつまり、愛されたいという欲求と同じだ。 その時思ったのは、ああ、この人もやはり、同じ生身の人間なのだ、という事だった。それが何故だかツォンは、とても嬉しかったのである。 「そういえば、ツォン。そんな昔話はともかくとして、今日は何か話しでもあったんじゃないのか?」 「え?」 唐突にそう振られて、ツォンは一瞬躊躇った。 ルーファウスの言うことは確かなことで、ツォンも勿論話をするつもりだったが、いざそう言われると何だか妙な焦りがある。 なまじ過去を思い出していただけに、それは妙に顕著なような気がして。 「どうしたんだ?何かあったのか?」 「ああ…いえ、そういうわけでは…」 そういうわけでは―――――――"ない"、とは言えない。 何かがあるからこそ、こうしてルーファウスを呼び出したのだから。 今日という日、会おうと言い出したのはルーファウスではなくツォンの方だった。それは今しがたルーファウスが口にしたように正しく話をする為の呼び出しで、しかもそれはあまり嬉しい知らせとは言えない。 その嬉しくない知らせを口にする事は、自ら決めた事とはいえやはり少し気後れするものだった。 「また無理でもしてるのか?だから言ったじゃないか、私の所にいれば良いんだってな。それなのにわざわざ他の部署に移ったりするからだ」 「別にそんなんじゃありませんよ。仕事は仕事ですから」 「…お前って嫌な奴だな」 ルーファウスは苦く笑うと、でも仕方ないな、などと言う。 ルーファウスの視線の先には暗い空があって、その空の中にはぽつぽつと星が輝いている。それらはどれも独立しており、小さいながらも確かな輝きをしていた。 「お前はいつもそうだ。どこにいっても完璧にこなしてる。…例え私の傍を離れてもな」 「……」 「――――なあ、返ってこないか?」 空からふっと視線を外したルーファウスは、幾分か真面目な顔つきをしてツォンを見やる。その瞳は真剣で、その言葉がいかに本気かがツォンにも直ぐに伺えたものだが、それでもツォンはそれに返答を返せなかった。 ルーファウスが現在の事業を始めてから、どれくらい経っただろうか。 それを始めた時、ツォンはルーファウスをサポートするために常に傍にいたものである。それは言葉のあやなどではなく、本当に傍にいたのだ。その人の言葉の矗一を聞きとめ、それを実行に移し、次の行動に繋げていく。まるで秘書のような役割で動いていたツォンは、いつの間にかその事業の大方を把握するほどに至った。まあそれも当然だろう、事業主であるルーファウスの右手となって動いていたのだから。 しかし少し前にツォンは、その秘書のような役割を自ら辞退したのである。 相変わらずルーファウスの事業の一環を担ってはいるが、今では全く違う部署に所属する一人の社員でしかない。勿論ルーファウスなどは上司も上司で、本来なら顔を合わせるなど大それているというほどの立場の差である。 それを選んだ時、ルーファウスは酷く反対をした。 多分あれは、上司としてどうこうというよりも、ルーファウス個人としての意見だったのだろう。その時はちょっとした言い合いにさえなったのだが、それはまるで個人的な喧嘩に見えたものである。 "そんなの許さない!" ルーファウスはそう言って怒った。 それでもツォンが主張を通すと、怒り心頭といった具合にデスクをガンと叩き押し黙った。 それから暫くは沈黙が続いた。 ようやくそれが終ったとき、ルーファウスが言ったのは一言だった。 "お前は嫌な奴だ" ――――――――結局、そのままツォンの異動は承諾が降りた。 そうしてツォンはルーファウスの傍を離れることになったのだが、それからというものはまるで景色が変わってしまったように思えたものである。日常の中に何気なくあった笑顔や切なさが、まるで全て夢だったかのように遠く感じられた。勿論新しい同僚の笑顔はいつもそこにあったが、それはまるで欲しいものなんかじゃなかった。 全く満たされない。 まるで冬の寒空を眺めているかのような気分になる。 しかしそれは、ツォンにとってあの日のことを思い出させた。 それは―――――――――――神羅を辞めようと思った、"あの日"。 「…ルーファウス様」 ツォンはルーファウスの瞳を見つめながらそう名を呼ぶと、とても真面目な顔つきになって次の言葉を紡ぐ。 「私はもう…貴方の片腕には戻れません。それはもう決めた事ですし、新しい部署には新しい仕事があります。今の私はそれを遂行しなければならない」 「お前らしいな…腹立つほど、な」 嫌味のつもりでそう言ったのだろうが、ルーファウスの顔はどこか寂しそうだった。それを見て、ツォンも思わず同じような表情になる。 そして、まるでその話の続きとでも言うように"それ"を切り出した。 「それに…今日はその事についても、貴方にお願いがあるんです」 「何だ」 「ええ。実はその仕事の件ですが……―――――――辞めたいと、思っているんです」 ツォンのその言葉が響いた瞬間。 ルーファウスは酷く驚いたような顔をして、そして、言葉を失ったように口を僅かに開けたまま沈黙した。 そのツォンの言葉は、ルーファウスにとっては衝撃でしかない。 傍を離れ違う部署に行くといった時に沸騰した怒りなど、既に超えてしまっている。何せ今のツォンは、異動などではなく辞職を願い出ているのだから。 まるで…そう、あの日のように。 ツォンは沈黙するルーファウスを前にして、言葉が言えなくなる前にと思いながら今までと同じ口調で説明を続ける。 「この事業にも神羅にも、長い間お世話になってきました。それにはとても感謝しているんです。何せ貴方は私を買ってくれたのでしょうし、それに…仕事に対してこう言うのも 難ですが、とても楽しいと思っていましたから。―――けれど…」 けれど、それももう時効なのだろうと思う。 "あの日"奪われてしまったものを、そろそろ取り返さねばならない。 それは大きな代償を払うと分かっているし、とても苦しいことだと知っているけれど。 そう…とても、心の底から苦しいことだろうけれど。 「貴方が私に宣戦布告したあの日、私は神羅を辞めるはずだったんです。社長の承認も降りていましたし、後は引き継ぎくらいのものだった。でも、そんな日に限って貴方が宣戦布告したのですよ。神羅に居ろと、そう仰って…」 「…だから何だっていうんだ。そんなの、昔の話だ」 ルーファウスは、やっと言葉を思い出したかのようにそう口にした。 しかし言葉の内容に反してその語調にはどこかいつもの覇気が感じられない。 そんなルーファウスを前にして、ツォンは何かがチクチクとするのを感じながら言葉を続ける。何だかその言葉は今、針のように感じられた。それは一字一句とても鋭い針で、ただの言葉なのに心臓の柔らかいところに食い込むみたいに思える。 「ルーファウス様、あの日私が神羅を辞めようと思ったのにはそれなりの理由があったのですよ。私はそれをつい最近まで忘れていました。…いや、忘れようとしていたのかもしれない」 あまりにも居心地が良かったから、そんなことは不必要に感じられていた。 このまま此処にいられれば良いと、心はそう思っていたのかもしれない。 でも。 「でも私は、思い出してしまったんです。あの日私がした決心を…そして、もうとっくに時効だという事を」 「時効…って」 本当はもうとっくに時効だったんですよ、そうツォンは言うと、一つゆっくりと頷いた。しかしその頷きがどういう意味を持っているのか、それはツォン自身にも良くは分からなかった。ただ、そうしなければ自分を納得させられないような気がしたのである。こんなルーファウスを前にして、この言葉を言う為には。 「貴方の宣戦布告の内容からすれば、神羅が健在だったあの頃に、全ては叶っていたはずなんです。私は貴方の部下でしかなく、貴方は私の上司だった。貴方は神羅の社長になり、世界のトップに立った。…十分な証拠です」 「そんなの、たった数ヶ月のことだった」 苦々しくそう言ったルーファウスにツォンは、それでも事実は事実です、と言う。 ルーファウスがこの世界のトップに立ったことは、過去とはいえ確かな事である。誰かの脳裏からはすっかり消されているかもしれないが、それでもツォンの脳裏には今でも鮮やかに焼きついているのだから、それは確かな証拠だろう。 「それが叶った瞬間に、きっと私の役目は終わっていたんです。その時から私には理由が…理由が、本当は無かったんです。それでも神羅が健在だった時分はタークスを放る訳にはいかないと思っていましたが、その後は…理由が無い」 「……」 神羅が崩壊した後、それでもルーファウスの傍でフォローを続けたのはツォンの意思だった。だからそれはルーファウスにどうこうというべきことではない。 しかしそれがツォンの意思だとすれば、ルーファウスの方には意思はない事になる。あの時点でルーファウスの願望たるものは叶っていたのだからそこに理由は無いし、ツォンの意思に関してはただ受け入れていただけ、ということになるのだ。 だからこれは、約束事なのではない。 今ここにいる事も、約束の上のことなどではないのである。 「だから私は、神羅を辞めようと思ったあの時を…今ようやく取り戻すことが出来ると思うのです」 「…ツォン」 ルーファウスの目は、真っ直ぐとツォンに注がれていた。 その目に真っ直ぐな視線を返すことはさも辛いことだったが、かといって逸らすことは反則のように思える。 それに、ルーファウスはそんなことをさせなかった。 「―――――それはお前にとって、それほど取り戻さなきゃならないものなのか」 そっと響いたその言葉は、別段攻めるふうでも何でもない。ただ純粋な疑問のように感じられる。 しかしツォンにとってその言葉は、何か特別な言葉のように聞こえた。 "取り戻さなきゃならない"のかどうか、本当はそれが問題ではないのだから。 問題は――――――。 「取り戻したいんです」 「全てを捨てても?」 「ええ、全てを捨てても」 「……」 風が優しく頬を撫でていく。 揺れた髪が頬にかかって、やはりまたそれを指で拭う。 その動作の間じっと見詰めていた顔が、そっと歪んでいく。ゆっくりと、少しづつ。 言うべきなのだ、今此処で。 いつの間にか立ち止まったままちっとも進まないこの場所で、すっかり変わり果てたこの土地で、今は潤う自然の公園の中で、今こそ重要な言葉を言うべきなのだ。 「だから、ルーファウス様」 「……」 その瞳をじっと見つめる。 とてもとても、心苦しいけれど。 「―――――――――――別れましょう」 |