幸福の条件
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今日は快晴だ。気分が良い。 だけど、どうも昨日の件が引っかかってるので、気分は良いがどうもモヤモヤしたものが残ってる。 そもそもツォンが悪いんだ。 だって昨日、あれほど空けとけと言ったのに、いきなり急用が出来たとか何とか言いやがって、全く酷いったら無い。 あ〜本当にむかつく! 給料下げてやろうかな…いや、それはやはりマズイか。親父のお気に入りでもあるしな。というか、それ自体、俺は気に食わない。 そうだ、思い出したぞ。昨日の用事は何だか親父がらみだったはずだ。俺と親父とどっちが大切なんだ、あいつは。…とかいって、親父だとか答えられたらキツイな…もうそれは考えるのをやめよう。うん、それが良い。 とにかくツォンがもうすぐ出社してくるはずだ。 それから聞いてみよう。昨日の用事が何だったのか。
神羅に一歩入っただけで、俺はその瞬間から副社長モードに切り替えた。 これは結構キツイ時もあるが、最近ではさすがに慣れてしまった。今日はツォンも近くにいないことだし、結構とすんなりと切り替えができて良かった。 あいつがいると、それはそれでどうも調子が狂う。理由は分かってるけど…まあ、そんな事はどうでも良い。 とにかく俺はいつも通り、自分の居場所に足を運んだ。 大勢の社員と朝の挨拶なんかを交わし、俺は順調にそこに辿り着く。此処は周囲が結構静かで落ち着く。かといって働いてる人間がいないというわけでもない。皆、集中作業をしているからだろう。大体は部屋に篭ってるし、俺の出社より早く来てる奴が多いというのもあるから、あまり顔を合わすこともない。 部屋に入ると、デスクに山済みのままの書類が眼に入った。 ああ、そういえば昨日は少し仕事を残したまま退勤したんだった。それはそうだろう。何せ昨日は約束があるからと思って急いでいたんだから。 それなのに、あいつ……ああ、駄目だ。 俺はまた苛々してきて、どうにも落ち着かなくなった。ツォンが早く出勤してきてくれれば良いんだが、そういうわけにもいかない。大体、ツォンの家は少し遠い所にあるのだ。それもどうも良くないな、などと思う。 いっそ俺の家にいればいいのにとも思うが、そんな事を口にしようものなら、また何だかんだと文句を言うに決まってる。 また貴方はそんな事を言って、だとか何とか言うんだろう。大体ツォンの言うことは予想がつく。ちょっと説教じみた、それでいて呆れたふうな物言い…それも何だか慣れてきた気がする。 ……はあ、重症かもしれない。 積み重なった書類の一番上には、今日の予定が書かれた紙が置かれている。 今日はそんなに忙しくもないスケジュールだ。 特別な調査も無いし、平和といえば平和な日だろう。取り合えず俺がこなさなくてはならないのが、この山済みの書類。これを片付ければほぼ終わりという状況だし、後はツォンの所に言ってタークスの邪魔…いやいや、様子見でもしてみようか、と思う。 まずは書類の共に、アールグレイティーを淹れる事にした。 以前はこういう事も誰かが担っていた仕事の一つだったが、最近ではそういうものも無くなった。というのも実の所、俺が指示した事だったりする。 何でかといえば…つまり、いきなり来られても困る時もあるからだ。 だから俺はそういう一切の事を、最近では自分でやるようになっていた。これはこれで自分好みにリメイクできるので良いのかもしれない。 そんな事を考えつつ準備を整えた俺は、やっとデスクに腰を据える事になった。
午前8:45。 ツォンが出勤してきた。 タークス連中の所に行くよりも何よりも真っ先に、ツォンは俺の元に姿を現した。 弁解でもするつもりか? 「ルーファウス様、お早う御座います」 「ああ、おはよう」 その頃、書類の山は俺の左右両方に、半分づつの山を作っていた。俺の出勤時間が8:00だから、訳1時間で半分こなした事になる。 さすが俺!…というのはどうでも良いとして、問題はツォンだ。 ツォンは俺の方を見ながら、いつも通りの表情をしている。何だそれは…弁解の1つもしないつもりか?昨日は約束をすっぽかしたんだぞ? 俺は無意識に機嫌が悪くなった。 「さっさと仕事についたらどうだ?」 おはようと挨拶しただけで黙っているツォンに、俺はそんな事を言う。自分から昨日の話を持ち出すのも癪だから、敢えてその話題には触れない。 「ルーファウス様。何だか怒ってませんか?」 当然だろう!?…と叫びたくなったが、そこをグッと押さえると、 「別に」 と言って、俺は書類を引っ張った。 ツォンはそんな俺の動作を眺めながら突っ立っている。一体何を考えているんだろうか。ツォンの頭は大体、仕事で埋められているから、今ももしかしたらそうなのかもしれない。 でも、だったら此処にいる必要も無いはずだ―――さっぱり分からない。 ツォンが黙ったままなので、俺は黙々と書類を捌き始めた。 シーン……。 おい、何とか言えよ。 そう思う俺にツォンはやっとこさ口を開いた。その間約10分。…長いぞ、ツォン。 「―――――ルーファウス様、お話があります」 「…うん?」 随分、深刻な面持ちだ。昨日の事をそこまで反省しているのだろうか。 しめしめ、と思ったが、それはどうも違う内容だった。 「プレジデント様が明後日からお出かけになるのは、ご存知ですよね?」 ああ、そういえばそんな事を言っていた。しかもそれは出張で、数ヶ月帰らないかもしれないという内容だった気がする。 とはいってもどうせ半分は遊びみたいなもんなんだろう。そんなことをせずにとっとと帰ってくれば良いものを、会社の経費でもって旅行気分なんだから困ったもんだ。 …でもそれが一体、何の関係があるんだ? そう疑問に思う俺を差し置いて、ツォンは続きを話し始めた。 「それが今度は長期に渡るという話なのです。それはまあ…仕方無いことです。仕事ですから無理も無い事ですが、その――」 俺は段々、イラついてくる。 一体全体、何が言いたいんだ。早く核を言えば良いのに、ツォンはどうもそこを遠回りする。 「何だ、早く言え」 つい感情に走ってそう言ってしまう。でもこれは一理あるのだから、敢えて自分は責めないでおこう。 ツォンは真っ直ぐな視線をこちらに向けると、とうとう核心に触れた。 「―――私もお供する事になりました」
…は?―――何だって…?
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