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I Miss You -----------------------------
夏休みだ。 ルーファウスは学生最後の夏休みを、コスタ・デル・ソルの別荘で過ごすことにした。 わがまま放題をつくしてきたが、会社を動かすようになれば、もう自由に休暇を過ごすことも出来なくなる。 そういう意味で、最後の我侭を押しとおすつもりだった。 まだ戦争中で、危ないという理由から、ソルジャー1STのセフィロスを一人と、タークスのツォンと、兵士数人がボディガード要員として一緒についてくることになった。 「面倒なことだな」 ぼやくルーファウスには、そつのない返答を送るのは、タークスのツォン。 セフィロスと並んで最もルーファウスに近い場所でガードをしているので、ルーファウスの我侭は専ら二人にむけられた。 若い英雄セフィロスは、始めはルーファウスに何を言われても無表情を貫いていたが、その内忌々しい表情をルーファウスにむけるようになった。 まずいな。ツォンがそう思った時、事態は急激に変化してしまったのだ。 「大丈夫ですか?」 気遣うツォンに、首を振るルーファウス。 一言も喋らないルーファウスは、寝込んでいた。 「一体どうしたのです? 熱もないようですし…」 理由を尋ねても、一言も答えないルーファウスは、朝から寝込んでいた。どうも体が動かせないようなのだ。 心配するツォンに何も告げずに、ルーファウスはひたすら沈黙を押しとおす。 おかしいと思ったツォンは、夜、ルーファウスの見張りをすることにした。 夜中のことだ。 一人で夜番に立つツォンの耳に、窓をあける小さな音が聞こえてきた。 暑くなってルーファウスが窓を開けたのだろうか。 気になったツォンは、部屋を覗くことにした。 部屋は暗く、やっぱりは窓は開いている。 「暑いとは言っても、夜風は体に染みますよ」 言いながら、窓を閉めようとして、異変に気付いた。 「いない?」 ベッドはもぬけの空だった。 ツォンは慌てて窓から外を覗きこんだ。 「駄目だ、いない」 いくら平和な町とはいえ、夜は物騒には違いない。 ツォンは慌てて外へ飛び出した。 眠っている市民もいることだろう。それ程の大声は上げられないながらも、囁き程度の声を上げてルーファウスを呼ぶ。 当然、答えはない ツォンはルーファウスを探して海辺まで来ていた。 探せるところは探し尽くした。もう後は、海岸しかない。 足を砂に取られながら、必死にルーファウスを探す。 波打ち際を見ながら走るツォンの目の端に、黒い影が過った。 「まさか…」 ルーファウスは具合が悪かった、倒れているのかもしれない、という可能性も考えて、黒い影に近寄っていこうとして、ツォンは思わず足を止めた。 影は一人ではなかった 「…っつ」 思わず出かかった声を寸前で押さえ、ツォンは逆戻りを始める。 相手はセフィロスだった。 腰を激しく動かすセフィロスの首に、白い足を絡めたルーファウス。 荒い息が、二人が何をしているのかを、如実に語っていた。 「馬鹿な…」 だが、これで理由ははっきりした。ルーファウスの具合が悪かったのは、あの所為だった。 本来要れる場所でないのに、男同士ではどうしても使う場所。かなりの痛みだろう。 ツォンは記憶からそのことを抹消すべきだと思った。 だが、意に反して、忌まわしき記憶は、ずっとツォンの心に根付くこととなる。
夏休みは終り、と宣言したルーファウスに、お供でやってきた者達は一様に喜びの笑顔を見せた。 ルーファウスにとっては確かに夏休みであったが、お供の者達にとっては、長い出張だったのだ。 「それで、明日には戻るから、用意を済ませておけ」 寝込んだ日を境に、ルーファウスは何かに悩むそぶりを見せるようになった。 理由は明白だろう。 ツォンは余計なお世話とは思いながらも、セフィロスに話しをした。 「本気か?」 尋ねるツォンに、セフィロスは無表情に首を振った。 「黙らせるには、あれが有効だと思った」 セフィロスは、百戦錬磨のソルジャーだ。己の勝利を導く為には、どんな手段でも使う。 「…もう、やめた方が良い」 「だが、アイツの方から誘ってきたぞ?」 セフィロスは苦笑した。 「我侭王子も、蓋を開ければ好きモノだったというわけだ」 仕えるべき相手に向い、卑下たことを言うセフィロスを、ツォンは好きになれなかった。 自分だってルーファウスには手を焼いていた。それなのに。 「相手は社長の息子だ。控えた方が良い」 「それでも、社長は俺を手放さないさ」 神羅最強のソルジャー・セフィロス。 「そうだろうがな…」 反論はしない。きっと、社長だとてセフィロスの言ったような判断を下すだろう。 分かっている。 「それよりも、この馬鹿馬鹿しい仕事が終るともなれば、この関係を清算したい。だから、今夜はお前も混ざれ」 「なんだって?」 「続けて行くなど、冗談じゃない。俺はああいう自分のことしか考えない大馬鹿者は好きじゃない」 「だからといって、何故私が?」 「後はお前が引きうけてくれ。どうせ相手など誰でもかまいはしないだろう」 「…そんなわけがないだろう?」 だが。セフィロスは何も言わずに去っていった。 勿論、夜にツォンを誘うのを忘れなかった。 セフィロスとの約束の場所に、ツォンがいたのを見た時のルーファウスの顔は、驚きを通り越して無表情だった。 「そういうことか」 言って、ルーファウスは自分から服を脱ぎ出した。 すがるような目でセフィロスを見て、我侭大王がウソのように、自分から奉仕を始める。 余りに変わり果てた様子に、ツォンはその光景を直視することが出来なかった。 荒く息の上がって行くルーファウスを、セフィロスは無表情に眺め、なされるがままになっている。 無表情ではあるが、明らかに勃起する場所を、ルーファウスは愛しげになで上げ、自分からそれを含むべく横になり、足を広げる。 セフィロスは大義そうに身をかがめると、まるで義務のように体を繋げ、動き始める。 「お前も、やれ」 無神経とも言える言葉に、ツォンは逆らい続ける。 愛などない。愛のない行為は、ツォンには辛いばかりだと分かっている。 だが。 セフィロスが体の位置を変え、ルーファウスをツォンに近付ける。 諦めたようなルーファウスがツォンにも奉仕すべく、手を伸ばす。 「やめて下さい」 呟くツォン。だが、ルーファウスはその言葉には従わなかった。 夜風になぶられる己の半身を情けなく思いながら、ツォンはついにルーファウスに手を伸ばした。 まるで狂ったような一夜だった。
翌日には、もう何もなかったかのように振舞うセフィロスと、ことの後で泣き出した真っ赤な目をしたルーファウスがツォンに付き添われてミッドガルに戻った。 ルーファウスは驚く程に変わり、また、ルーファウスの希望により、ツォンは副社長付きとなった。 関係は続いている。 ツォンが、同情から始まった愛をルーファウスに向けたからだ。
「あの時のことを、今でも思い出す」 暗い部屋。違いを愛した後で、ルーファウスは呟く。 何年もかけてやっと信頼と愛情を勝ち取ったツォンは、愛しい人の肌に、指を這わせて微笑む。 「そうですね。悪夢といえば悪夢。なれ初めといえば、またそうである、そんな幻のような一時でしたが…」 「だが、今は幸せだ」 「そうですね」 今はもう、セフィロスは神羅にさえいない。 「私だけは、ずっとお傍に…ルーファウス様」 「ああ」 その誓いは、直ぐに破られてしまうのだけれど…。
END
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