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神羅を出て私は奔走した。 とにかく何処か開いてる店! いちいちチェックが入るミッドガルのうざい電車にイライラし、会心の一撃をくらわすと、一部機械が故障したような音がしたがそんなものはどうでも良い。 適当に降りて探してみるがミッドガルという場所はもう既に夜の町と化していた。いかがわしい兄ちゃんなどが徘徊しつつ、良い娘いますよ〜などと言っている。 ふ、馬鹿者めが。ルーファウス様に叶う者がどこにいるというのだ。 茶髪ギャルに「好きにして」などと言われるより遥かに、ルーファウス様の「ツォン(呼び掛け)」の方が下半身に効く。…息子よ、まだまだ若いな、お前も…。 私は夜の町をふらふらしつつ、一人ニヤリとしていた。 そんな私の目に、一つの看板が飛び込んできたのは、それから数分後の事である。 “これで相手も夜の女王!フェ●モン媚薬!” …何っ!び、媚薬!? 私は俄かイケナイ妄想にとらわれた。 ル、ルーファウス様、そんな破廉恥な……。(以下、自主規制) 「毎度あり〜」 はっと我に返った時には、私はつり銭を財布にしまっている所だった。そして私の手にはしかとフェロモン媚薬が……!! 「お兄さん、真面目そうな顔して好きだねえ」 そうコソッと漏らした男の肩を私はポンと叩くと、「お互いほどほどにな」と大人の笑みをもらしてやった。 男は、どうも、とニヤニヤしていたがそこは完全無視して私はさらに歩をすすめるのだった。
さらに奥まった場所に行くと、闇市場とか呼称される場所に辿り着く。私はぶっちゃけ此処は嫌いだ。何故かといえば以前仕事で来た時に苦い経験があったりするからだ。 闇で取引されていた神羅情報に私は…まあ詳細は省略しよう。 とにかく嫌いなその場に足を踏み入れつつ、私は何か無いかを探した。 「あ!あれは!」 何たる悲劇! それは突然私の目に入った。 私は思わず社章を外しその場所に近付く。しげしげと眺めると、ふいにバイヤーらしき人物が近付いてきてこんなふうに言う。 「兄さん、御目が高いねえ。こりゃレアですぜ。今密かに話題を博している神羅のルーファウスさんのプロマイド!」 「何!密かに話題!」 うぬ…今更その魅力に気付くとは愚かな人間共よ。 しかしこれは一体誰が激写したのだろうか。盗撮に決まっている。 「兄さん、こんなのもあるでよ」 そう言ってバイヤーは何やらゴソゴソとやりはじめる。 と……ぶはっ。 な、何と!シャワーシーンっっ!!一体どこの誰がこんな狼藉を!? 許せん、私のルーファウス様をこのように激写するとは。 まず私に了承を得ろといいたい。というか私に寄越せ! そう鼻を抑えながらも怒りに震える私の隣に、ふと客のような女共がやってきた。 「ねえ見て見て!これってさあ、神羅のぉ〜」 「あ、知ってるぅ!私、その人ちょっとチェックって感じでぇ」 小娘共めが!!! 私は噴火しそうな頭を何とか抑えると、その小娘共の前にあったルーファウス様プロマイドを一瞬にして全部剥がし、バイヤーに向かって言った。 「くれ!!!」 かなり驚いた顔をしていたものの、私の出した大金(10000ギル商品券)にすぐさまニヤリと笑って、あいよ、と言ってくる。 ふ、見たか小娘よ。 私は立ち上がって斜め45度に顔を逸らして見下した後、鼻でふふん、と笑ってやった。 してやったり! 「何こいつぅ〜」 お前らに言われる筋合いは無い。ふ。 私がはっと我に返ったのはそれから20分ほど後の事だった…。 どうやら私は余計なものばかり購入しているらしい。一刻も早くルーファウス様のお祝いを入手せねばならんというのに…嗚呼、これを悲劇といわずして何と言おうか。 とにかく私はさらに巡った。 良く分からないが怪しい物品ばかりが流通しているらしく、取り扱っている輩も怪しい事この上無い。そうして見回していると…あ、マトモそうな奴がいるではないか。 なになに?…本革小物…? ふむ、まだ良さそうだ。 私はそこで歩を止めると、陳列された商品を眺めた。 「いらっしゃい」 幾分マトモな声がかけられ、私はとにかくそれが本物かどうかを詰問してみる。しかし相手は動揺もしなければ妖しい笑いを浮かべるでも無く、淡々とこう答える。 「本革ですよ。それに銀細工をプラスしております。模様や名前の彫りも承ります」 「そうか」 模様…神羅社旗…? ふ、それはいくら何でもやりすぎだろう。 取り敢えず時計を見るともう既に草木も眠り、黄泉の世界から人が散歩してきそうな時間だった。 仕方ない、幾分マトモだしこの辺で手を打つとするか。 私はその中からシガレットケースを選んで、銀細工には彫りを入れてくれと頼んだ。密かに小さく自分の名前なんかも刻んでもらう。ふ、愛の証よ。 結局は何だか分からない入り組んだ模様になったわけだが、ミクロの世界に私の名前があったりした。値段を問うと、さすがにそこそこ…まあ良い。払えない値段ではない。 というか、ルーファウス様の為ならこのくらいなんて事はあるまい! 「まいど」 綺麗に包装してもらい私は至極満足をしたのだった。
翌日ルーファウス様に呼び出された私は嬉々としてそれを手に出向いた。 嗚呼、どんなお顔をなさるだろう。 ツォン、有難うなどと躊躇いがちに言いながら恥ずかしそうに目を閉じ……ああ、私よ!どうするんだ、そんな展開になってしまったら! それは勿論そそくさと服を脱ぎ、枕元にはティ●シュを用意し…って、それではいかにも下心が見え見えではないか! いけません、などと一度ひいてみた方がルーファウス様もメロメロ間違い無し、じらさないでくれ、などと体を火照らす事うけあいだ。 よし、その線でいこう。 私は咳払いなどをした後、紳士にノックを3回した。 トントントン。 「何の音?」 「こくよのおと」 「…よし、入れ」 二人だけの合図などを交わしながら、私はドアの向こうの世界にこんにちはをした。 部屋の中ではルーファウス様は優雅に午後のお茶を楽しんでいる。 嗚呼、その茶になりたい…私だったら茶柱すら立てて差し上げるのに! 「ツォン、待っていたぞ」 「はい」 前言撤回、私は茶でなくツォンで良い。 「お前の気持ちをしかと見せてもらおうか」 「ええ、勿論です」 私は思わずベルトをゆるめようとしたが、そこを何とか抑えると、持参したお祝いを手渡した。 私としたことがドキドキなどしている…若い、若いぞ、ツォン! 丁寧に包みを解くルーファウス様を何だか見ていられず、私はそこから目を逸らした。どんな反応が返ってくるのだろうか…心臓が口から飛び出してきそうだ。…かなりグロいが。 「何だこれは。飲めば良いのか?」 「…は?」 そんな言葉に私は驚いて振り返った。飲むとはどういった事なのだ!? 「ああ―――――――っっ!!!!」 私は絶叫した。 何故ならルーファウス様が何かを飲み込んだ後だったからだ。しかもその何かとは勿論アレである。 例のブツ…フェ●モン媚薬!! 嗚呼、何故!? 何故そこにお前が入っているのだああっ!! しかしそんな焦る心とは裏腹に、私は心の奥底どこかでニヤリともしていた。何せ媚薬…ルーファウス様に媚薬…くっ、いかん! 爆発する妄想に取りつかれながら私はルー様を見やった。 「ツォン…何だか体が…変…」 「そっ!…そうですか!?」 私はドキドキした。とうとうこんな時がやってきてしまったのだ。 嗚呼、どれほど待ったことか。それはもう万里の長城の如くだろう。 財布の中にこっそり入れてある、こんな時に欠かせない某物体について、あれは消費期限があるんだったかななどと私が考えている内に、ルーファウス様はそろそろと私に近付いてきた。そして私の胸元に手などを這わせる。 目は完全にトロンとしていて、まるで食べちゃって下さいといわんばかりだ。 嗚呼、ルーファウス様!今宵は私と一つになってしまうのですね!? 御覚悟は宜しいのですね!? 「ツォン、覚悟はできてる…」 「そ、そうですか…」 「…お前もできてるか?」 「365日24時間OKです」 意気込んでそう言う私にルーファウス様は嬉しそうに笑った。 さあ、いざっ! ルーファウス様!!! 「覚悟しろ、ツォン!」 何!? 「え、あっ、ちょっと!ぎゃああああ!!!」 何という事かルーファウス様に私は押し倒された。 何が何だか分からない中、私ははっと思い返す。 媚薬…そう、あれのキャッチコピーは確か、“これで相手も夜の女王!”だったのだ。 という事は…!? 「そんな馬鹿なあっ!」 私の目には鬼畜な夜の女王と化したルーファウス様の笑いだけが映っていた…。因みに上着のポケットからは大量のルーファウス様プロマイドが舞い上がったのは言うまでもない。
私は思うのであった。 嗚呼、愛って痛い……。
そうしてルーファウス様は無事、副社長に就任されたのだった。…終劇。
END
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