SECOND -笑う理由-

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誰かが喜ぶ顔を見ながら考える。

オレが笑う理由って何だったっけ?

ちょっとばっかし楽しくて、ちょっとばっかし嬉しくてオレは笑顔になるけど、それってオレはホントに満足してんのかな。

クラウドがあの英雄とつきあって、オレは相変わらず英雄にはなれなくて、そんな毎日の中でオレはそれでも笑う。

手に入らないもんなんて沢山あるさ。

大切な存在だって栄誉だってそんな沢山のもんの一つで、きっといつかは手に入るさ。

そう思って一日一日が過ぎてく。

だけど「いつか」なんていつ来るんだよ。

いつだって「いつかは、いつかは」って思ってそうして今まで来たんじゃないか。

だったらオレはいつまで経っても「いつかは」って思ってるだけで、結局その「いつか」って時なんか来ないんだと思う。

オレはいつまでセカンドでいりゃいいんだろう。

いつまで愛想笑いを続けりゃいいんだろう。

 

オレはきっとこうして、「いつかは」を口癖みたいに言いながらそれこそいつかはオヤジになっちまうのかもしれない。

 

何だか時々、そう思う。

 

 

 

オレは試しに愛想笑いをやめてみた。

やめて、日々を過ごしてみる。

そういう時は大概誰も彼もがソッコウこう言ってくんだ。

「ザックス、どうしたんだよ?」

どうしたかって?

どうもしやしないさ、オレはオレだ。単に愛想笑いをやめただけさ。

「お前が暗いとなーんか嫌なカンジ」

またまたそんなこと言う。

そんなにオレって笑いキャラかよ?

そう思うけどオレの口は反対のこと言うんだ、だろ?、なんてな。

大体こういう時、一番ソレ言って欲しくないって奴もそんなこと言ってくるんだ。

例えば――――――。

 

「おはよ!あれ…ザックス、何か元気ないね?」

そう、クラウド。

オレは、オレのこと一番見抜いて欲しいやつにもそう言われちまう。そりゃ仕方ないよな、だってこいつはオレの挫折そのものなんだ。

「そうかね、オレ、元気ない?」

できれば「真顔だね」くらいで止めて欲しかったけどそうはさせてくれないらしい。

「うん、そう見えるよ」

「へえ……」

「へえ、って…何かあったの?」

クラウドはいかにも心配顔してそう聞く。

なあ…分かってんのかよ、そういうお前を見るとオレは一番へこむんだぜ。

お前は笑ってるオレしか知らないからそう言うんだ。もしもお前がオレのこともっと知ろうとしたら、きっとお前はもっと違う言葉かけてたんだぜ。

だけどそれは無理だ、だってお前は―――――。

「やだなあ、ザックスまで」

「あ?」

クラウドはため息なんてついてそう言う。

何だそのザックスまでってのは、そう思ったけどその意味はすぐ分かった。

…そう、それは。

「セフィロスも最近、元気ないんだよね」

「――――――ああ」

なるほどね。そりゃそうだ、あの英雄のことだったらお前は心配だってするだろうな。ってことはさっき俺に見せた心配顔も結局はアレだ、俺を飛び越えてどっか遠くの英雄を見てたってことだ。

俺はそれに落胆しながらクラウドに言う。

「で?セフィロスが心配なわけだ」

「うん。でもね、元気ない理由は分かってるんだ」

「分かってるのか?じゃあ別に良いじゃねえか、ハッキリしてんだし」

理由も分かってるのにそんなに心配なのかよ、クラウド。なあ、俺はセフィロスが羨ましいよ、そうしてお前に心配してもらえてさ。

「良くないよ。俺はね、ザックス。理由もハッキリ分かってるのに、それでもセフィロスを笑顔に出来ない自分が何だか不甲斐ないっていうか…悔しいんだよ」

「……そ、っか」

クラウドは俺の前で悩むように溜息を吐くと、どうしたら良いんだろうなんて呟きながら遠いトコに視線を飛ばしてる。

俺はそんなクラウドを見て、思わず笑っちまった。っていってもそりゃ別に悪気があって笑ったわけじゃない。

俺が笑ったのは――――――俺自身にだ。

なあ、俺はどうしたら良いんだろう。時々思うんだ。

俺には手に入れられないもんが沢山あって、目の前のクラウドだって、一緒にミッション行くセフィロスだって、そんな沢山のもんの中の一つだって分かってるのに、俺ってヤツはこうして悪あがきしてみたりすんだよ。

たまには「皆の俺」を休んで真顔になってみんだよ。

それでも皆は俺を見てどうしたんだってそう聞くんだ。クラウドなんて俺よりやっぱりセフィロスを心配するんだ。

俺の悪あがきはそうしていっつも無駄に終わるんだ。

何でかって?

そりゃ……。

 

俺には手に入れられないもんがいっぱいあって、

俺はいつだって、誰かにとって二番目の人間だから―――――――――――。

 

悩みを打ち明けるほどじゃない二番目。

真顔になったって本気で心配なんかされやしない二番目。

笑ってりゃ良いだけの二番目。

 

誰だって一番目ってやつを持ってて、そいつが大切で、退屈凌ぎの二番目に俺を振る。

だから二番目は気軽なほうがウケが良い。

楽しいだけ、笑ってるだけ、そんだけの方が、良いんだ。

 

 

 

なあ……俺が笑う理由って―――――――何だったっけ?

 

 

 

それでも今日も俺は笑う。

毎日、笑い続ける。

俺は手に入らない沢山のもんを夢見ながら、俺が欲しいもんを持ちながらもセカンドを欲しがってる誰かの為の、「俺」になる。

 

 

 

END

 

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