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花びらの記憶 ----------------------------------------
桜が舞ってた。
ヒラヒラヒラ…
まだ覚えてるよ、あの風景を。 まるで絵の具をこぼしたような青が、空いっぱいに広がっていたよね?
その中でピンクに染まった花びらは、とてもとても綺麗だった。 ヒラヒラと舞って、肩に落ちる花びら。 それを見て、優しく笑ってた。 とても、とても懐かしくて――――優しくて、まるで消えてしまうそうだった。
花見をしようと俺を連れ出したザックスは、満開の桜の下で満足そうにしてる。 今日もサボっちゃったね、と俺が言うと、ザックスは 「良いじゃん、花見くらい」 と笑った。 桜は花びらを散らしながら、ゆっくりと揺れている。 綺麗だなあと思った。 そう思ってる俺の隣で、ザックスは大欠伸をしたりしてる。 「何だよ、ザックス。眠いの?」 「そうなんだよなあ、実は。でも今日は絶対お前と此処に来るって決めてたし」 「俺の予定なんか、気にして無いんでしょ?」 「当たり前だろ?」 酷いよザックス、と俺はちょっと攻撃してやる。 だけどザックスはちっとも気にして無いみたいに笑ってる。 だから、何だか俺も笑ってしまう。
ヒラヒラヒラ…
桜が、俺とザックスの上で舞っていた。 とても綺麗で、とても優しくて柔らかくて、何だかどこか違う場所にいるような気分だった。
「ねえ、来年も見にこれるかな?」 ふとそんな事を言った俺に、ザックスは「ああ」と答える。 「また、見に来ような。一緒にさ」 「うん」 それは小さな約束だった。 来年なんて、全然分からないけど…でも、俺はすごく嬉しくなった。 また桜の花が舞う季節に、ザックスと二人でこうして花見ができたら良いなあ。 それまでは、どんな事があるか分からない。 俺がどうなってるかも分からない。 「俺、来年はソルジャーとして見に来たいな」 ちょっと意気込んでそう言ってみる。 「ああ、そうしよう」 チャチャでも入れられるかと思ったけど、ザックスは俺を励ますようにそう言ってくれた。 もしソルジャーになれたら、来年はもっとピクニックみたいに色んなモノを持って来ようね。 「じゃあお前、これからガンバらないとな」 「うん」
ヒラヒラヒラ…
ピンクに染まった花びらは、とてもとても綺麗だった。 ヒラヒラと舞って、ザックスの肩に花びらが落ちる。 「お、俺に落ちてきた」 そんな事を言いながら、ザックスは笑った。 「俺にも落ちてきたよ」 いつのまにか肩にちょこんと乗っかっていた花びらに気付いて、俺もそんな声を上げる。 それは何だか、幸せが舞い降りてきたみたいな感じがした。 「な、来て良かっただろ?」 「うん、良かった」 「来年も、来ような」 「うん、絶対だよ」 約束だな、なんて言ってザックスは花びらの中で笑った。
桜が舞ってた。 その中でピンクに染まった花びらは、とてもとても綺麗だった。 それを見て、優しく笑ってた。 とても、とても懐かしくて――――優しくて、まるで消えてしまうそうだった。
そんなザックスが、本当に、本当に、大好きだった。
END
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