追憶葬
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<記憶葬>
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クラウドとヴィンセントは、その地面から現れた無数の人骨を掘り出した。 これをこのまま埋めておくわけにはいかなかった。 何故ならそれは神羅の犠牲者達であり、生き残った人間が忘れて言い訳が無いものだったからである。 どこか違う場所に埋めて、しっかりと供養してやらない事には終われなかった。
そう、神羅は終わってない―――――その言葉通りに。
あまりにも大量なので、最終的には団体に作業を任せようという決断をした二人は、一時的に幾体分かの人骨を移動させると、取り敢えずはルジの元に戻る事にした。 久しぶりに会うような気がするルジは、二人の姿を見てホッとした顔をする。 そういえば言葉を吐き出したままで出て来てしまった事を思い出したヴィンセントは、それについてを詫びた。 「すまない…色々と」 「いや、良いんじゃよ」 そう言うルジの目は優しかった。 やはり困っている者は見捨ててはおけない、それが彼の本心だったのだから。 そしてその目はクラウドに向けられて、今度は満面の笑みになった。 「初めまして、と言った方が良いかのう?」 そんなふうに言うルジに、クラウドはすまなそうな顔をした。 「良いんだ…。俺、あなたにはずっと迷惑をかけてきたから…」 「いやいや、良いのじゃ。ホットしとるよ。もう何度も会っているのに…初めてじゃな。まともな言葉を交わしたのは」 「ああ、そうだな」 クラウドも自然と笑顔になった。 けれど、この場所には思い出がありすぎて、心中複雑だったのは隠せない。 此処はザックスとの思い出がありすぎる――――それは、全て思い出したけれど、とてつもなく辛いものだった。 クラウドの知りえない、ザックスの考えや思いまでもを引き連れてきた、あの記憶。 それは、宝条の液体サンプル細胞の作用の為に、徐々に薄れかかっていた。 「そういえば、あの物体…」 そう思い出したように言うルジに、ああ、と答えを返したのはヴィンセントの方だった。 クラウドに何か合図するような視線を向けると、それを返すようにクラウドの腕が動いた。 その手が、ルジの前に差し出される。 「これは…宝条の作ったものだった」 「何?」 怪訝そうな顔をするルジに、クラウドは説明を続ける。 「ジェノバ細胞が作用しないザックスのような人間にも、ジェノバが作用するように…」 その言葉に、ルジは押し黙った。 それは、許されない実験に上塗りをするような事実だったからである。 今は過去のものとはいえ、それは忌々しいものだった。 「そうか…それは、どうするつもりだ?」 「勿論、どこかに捨てるつもりだよ。…もう必要なんか無いからな」 そういうクラウドは、穏やかだった。
何だかんだとルジと話を続けた後、クラウドはルジに秘密の話を持ち出した。 「なあ、頼みがあるんだ」 すっかり仲良い雰囲気になっていたルジは、そのままの調子で「またか?」などと笑った。 これでもうクラウドに関連することは三度目である。 「ああ、これは…その、無理かもしれないけどさ…」 そんなふうに言うクラウドに、「何じゃ、言ってみろ」とルジは促す。 クラウドは躊躇いながらも、その“頼み”を口にした。 「あの…ヴィンセントの、腕…。直せないか?」 「ん?あの腕を、か?」 「ああ」 最初は、それがルクレッツィアの為に残しておくものだとのヴィンセントの言葉があったので、クラウドは仕方無いことなのだろうと思っていた。 だが、今ヴィンセントは自分を選んでくれた。 それはある意味、クラウドと同じように過去を捨て去り、今を受け入れる決意だと、そう思う。 だから、せめて何かヴィンセントの為にできないものか、とクラウドは考えていた。 これからの生活もある。 だったら、それが一番いいのではないか――と。 「それはワシには難しいが…知り合いに当たってみるとしようかの。なに、腕が良いのはわんさかと居る。ただ、日の目に当たらぬだけの事じゃ」 迷った挙句にルジが出した答えは前向きなもので、それはクラウドを喜ばせた。 「ああ、ありがとう!…待ってるよ」 これで良い。
ヴィンセントもまた、神羅と完全な別れができるだろう――――。
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