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「クラウド…良いか?」 「き、聞くなよ…っ」 そんな聞かなくても答えなんて一緒だろって思うけど、敢えてそう聞いてくるヴィンセントが何だか妙に好きだなって思う。 ヴィンセントは俺の言葉を取り敢えずは「OK」に取ったらしくて、っていうかその通りだけど、とにかく俺の服をゴソゴソし出した。 こういう日に限って俺はボタンのついた服なんか着てて、ヴィンセントはそれを一つづつ取ろうと苦戦してる。でも俺は、なすがままされるがままって感じでヴィンセントに全てを託してた。俺が自分から脱いだ方が絶対早いって分かってた…けど。 それがやっと全部取り払われてから、ヴィンセントは俺の身体を包むみたいにギュッと抱きしめてくる。さっきの討論で俺があんなに望んでたピッタリが、こういう時は惜しみ無くやってくるんだ。何だか、ズルイ。 黒い髪が、俺の頬を掠める。 首のトコに、ヴィンセントの息遣い。 「んっ…っ」 「どうしたクラウド。まだ何もしてないぞ」 「うるさいな…っ。良いの、何でも!」 ああ、俺って何でこう…。まだ何もされてないのに何感じてんだよ! そう思って俺は自分自身に存分に「ばか」だとか「あほ」だとか罵ってみたけど、やっぱり素直なトコ、それは仕方無いって思ってしまう。 しかもそれは段々、本当の気持ちよさに変わってく。 俺を抱きしめてたヴィンセントの腕は俺をベットの上にゆっくり押し倒して、それから俺の下半身に移動していった。ヴィンセントの息遣いは俺の首筋にあるけど、俺の意識はもう完全に下半身の方に集中してる。 「あっ…っ」 まだまだ序盤、握りこまれただけだっていうのに俺はそんな声を上げた。その後ソコを上下されたらそれはそれでまた声が上がる。こういう時、素直すぎってのも困るよなって密かに思う俺がいる…。 ヴィンセントの髪が揺れる感触が、胸の辺りを掠めて、俺はそれにさえ声を上げてた。 それから―――――胸の中心の突き出たソコに、舌の感触。 「ヴィ、ヴィン…」 「まだこれからだぞ、クラウド…」 「う、ん…っ」 分かってるけど何だか身体が勝手に…。 でも仕方無い。 何しろ俺はいつもはヴィンセントと離れて暮らしてるんだし、こういう事をできるのだって限られてる。しかも驚いたことに最近の俺ときたらセブンスヘブンにいる時なんか処理もしない。普通の男だったら取りあえずやるだろって感じだけど、どうもティファがいる手前、変な声も出せないし…それにこうしてヴィンセントと抱き合うときまで取っておこうって、何だかそんなことまで思うようになって。 だからこういう時の俺はきっと、爆発してるんだと思う。 「あっ…あっ、ああ」 爆発気味の俺は、ヴィンセントのリアクションにいちいち声を上げてた。ヴィンセントの手が俺のソコを上下するのをやめて、そこからもっと背後に回ったそこに入り込んできた時なんかはもう、はっきりいって絶好調だったかも。 「クラウド…」 ヴィンセントの声が耳を掠める。 こういう時…何でかな。 いつも優しいけど、一層優しく聞こえるんだ。この声が。 さっきまで討論しようとか思ってたのもバカみたいな気分になってくるほどそれは優しくて、何だかそんなことどうでも良いような気分になってくる。そういうことより、何か、もっと―――――――何ていうか、やっぱり…。 して欲しい、って思う。 「ヴィン…セント…。なあ、もう…」 時間的にいってまだ全然って感じなのに俺は、もう既にそう催促してた。何って勿論、ヴィンセントのを、ってことだ。 ヴィンセントはそんな俺に、どうしたんだ、なんて言ってくる。それは多分、どうしてそんなに急くのか、って意味なんだと思うけど、俺はそれに答えるなんて事できない。 だって、どうしたもこうしたも無いんだ。 単にそれが素直な気持ちだってだけで、その他には何にも無いんだ。 「ヴィンセント…っ」 そうして催促している内にも動いてるヴィンセントの指に、俺は段々とボーッとしてくる。意識がないってワケじゃなくて、陶酔って感じだ。 それでも俺はヴィンセントに行動で催促を示した。例えばヴィンセントの首を引き寄せてみたり、足で合図してみたり。 けど―――――――ヴィンセントは一向に、指より先にはいこうとしない。 俺は段々それがもどかしくなって、目をはっきり開いてヴィンセントを見遣った。すると、ヴィンセントの方もしっかり目を開いて俺を見おろしてる。 何だかこういう最中にハッキリ目が合ってしまうのって微妙な気分だ。今更だけどやっぱり少し恥ずかしいかもしれない。だから俺は思わずちょっと顔を背けて、 「もう…い、いれよう…って」 そう小さく言ってみた。 それは俺にとって恥ずかしさを抑えて言った精一杯の行為だったのは言うまでもない。俺はこれでも頑張った。頑張ったのに…。 「クラウド、顔を背けるな」 ヴィンセントは何故か強い調子でそう言うと、抜き差ししてる方じゃない手で俺の頬をグッと掴んで、元の位置に戻す。そんなことをされると、またもや俺はヴィンセントと顔を付き合わせるハメになった。しかもどうだ、ヴィンセントときたらまた俺をじっと見詰めてるじゃないか。 恥ずかしいからやめろってのに! 「あっ…!あ、あ…そ、そんな…じっと…見るなよ…っ」 俺はとうとうそう口にした。だって、こんな爆発状態の時にそんなふうにじっと見られたら、それこそ変に感じそうな気がする。 俺はやっぱりそれを精一杯言ったつもりだったけど、ヴィンセントの方はといえば、俺の言葉なんて全然気にしてないふうにこんな一言を切り返した。 「駄目だ」 何でだよ!? 俺はそう心の中で叫んだけど、次の瞬間に聞こえてきたヴィンセントの言葉で、それより更にデカく叫ぶ結果となった。 「私はお前の顔を見ていたい。だからもう暫くは入れないからな」 何だよそれは―――――――!!!
翌朝俺は、とうとう一週間を終えてセブンスヘブンに帰ることになった。 そういう朝は大抵悲しくなるはずだったんだけど、何でだかその日はちょっと微妙な気分だった。いや、悲しいことは変わりないけど何だか…それに何か混じったような感じ。 だって。 「またな、クラウド」 「ああ…」 「次に会える時を、期待している」 そう言って目前のヴィンセントは笑っていたけど、俺は心の中でそっとその笑顔の裏をかいてた。だって昨日の夜のことを考えると、どう考えたってその「期待」ってのは俺の期待とはちょっと違うような…。 結局例の討論をぶり返すことは無かったけど、大体俺はその理由が察しついた。それも昨日のベッドでの出来事の収穫って感じだけど。 とにかく俺の出した結論からすると、ヴィンセントはきっと次に会うときだって半径1メートルをあけるんだ。でもって、私はそうしたいのだが、だとかなんだとか言うに決まってる。 だってさ…。 「ヴィンセント――――――見つめすぎ」 「ん?ああ、悪いな」 「いんだけどさ…別に」 ほら、こんな調子なんだから。 俺は今迄ヴィンセントと付き合ってきたけど、昨日初めて知った。 ヴィンセントって絶対、あるんだよ。…視姦癖が!! だから昨日の夜だって俺は、恥を忍んで入れようって言ったのに、結局ヴィンセントは俺の顔を眺めたまま30分くらいは入れないまま愛撫してた。まあ、その視線に思わず感じてしまった俺も俺だけど…。 だからヴィンセントが俺との距離を半径1メートルあけるのもきっと、それが理由なんだ。要は、ぴったりくっ付いてると見づらいわけで、だから見易いように半径1メートル開けてるんだ、あれは絶対! それって俺は喜んで良いのか悪いのか…ちょっと分からない。 でも取りあえず俺がホッとしたのは、そうして半径1メートル開ける理由が、俺を認めてないとかそういう理由じゃなかったってことだ。それよりかは随分と良い。いや、良いっていうか多分それって、結構好かれてるって取っても良いのかもしれない。 「そうだ、クラウド。昨日の話だが…」 ヴィンセントは、玄関近くで未だに立ったまま動こうとしない俺を見て、突然思い出したようにそんなことを言い出した。 「あれには理由があるのだ。実は…」 「待った!もうそれは良いって、ヴィンセント」 俺はすかさず手で制止すると、にっこりと笑って、 「解決したからさ」 と言った。 ヴィンセントは首を傾げながら、そうか、なんて言っていたけど、少しするとふっと笑ってこんなことを口にする。 「では遠慮なくそうさせて貰うことにしよう」 そんなこと言って――――――――また俺を凝視してる……。 俺はそんなヴィンセントに思わず笑ってしまうと、そうしてくれよ、と返した。 ヴィンセントのこわだりなのか何か分からないけど、その視線がちゃんと俺を好きだって伝えてくれるから、まあ良いかってそう思える。…本当はちょっと恥ずかしいけど。 でも、そう思うと半径1メートルもまあ許せるかなって気がしてきた。 「じゃあ俺、そろそろ行こうかな」 「ああ」 そう言って俺はやっと一歩を踏み出す。そろそろ行かないと、約束した時間にセブンスヘブンに戻れないし、そうなるとこれがまたティファがうるさいからな。 俺はそこから一歩一歩足を踏み出してヴィンセントから遠ざかっていったけど、ふと立ち止まると、くるりと振り返った。 だって―――――――やっぱりちょっと寂しいじゃないか、こういうの。 俺は振り返った先で、まだ俺をじっと見てるヴィンセントの姿を見つけて、笑ってこう言う。思い切り気持ちを込めて。 「今のうちに存分に見とけよな、ヴィンセント。俺の顔!」 ヴィンセントはただ、笑って頷いてた。 「ああ、そうすることにする」
次に会える時までの時間――――――その間の分も含めて。
セブンスヘブンに戻っても、俺の頭の中にはヴィンセントの視線が残ってた。 何となく幸せな気分…。 そう思ったら何だか俺は、ヴィンセントの気持ちが分かった気がした。 もしかして次に会う時は、視線バトルが起きるかもしれない。 俺は一人そんなことを思って、ちょっとだけ笑った。 ヴィンセントの顔を思い出しながら。
END
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