Just want to be pure.

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旅をしていると、色々な人間に出会うものである。

毎日毎日、最終的な目標があるとはいえ戦いの毎日だったパーティは、たまたま出会ったその人物に、少しばかり歩を休めることにした。

「ね、私も見て〜!」

例によって女性陣は騒いでいる。

それもその筈、それは正に女の領域といってもいいものだった。

しかし、例外は大体あるもので、それがリーダーたるクラウドだった事は言うまでもない。

「え、俺も!」

その風景を見ながら、残された人間はやれやれ、と思うのであった。

 

旅の占い師です、などと言ったその人物は、たまたま通りすがったクラウド達の運勢を占ってやろうと言い出した。

何故そういう職業の人間が旅をする必要があるのだろう、と最初は疑問だったが、それでも最初にティファが占ってもらった事で、そんな事はどうでも良い疑問へと変わっていたのだった。

ティファは、やはり女の子というべきか恋愛運などを占う。

「ええと…そうですね、徐々に惹かれていく恋愛ですねえ」

「ええっ!徐々に!?」

きゃ〜などと騒いでいる。

その言葉に一瞬躊躇ったのは、本人ではなくクラウドと…そしてヴィンセントの方だった。

まさか、な…と呟きながらクラウドは笑う。

が、ヴィンセントは心中複雑だった。

そもそもティファはクラウドが気に入っているのではないのか?

そうずっと思ってきたのに、最近はそういう感じもしない。というのも変な盛り上がりが女性陣の中だけであるからだろうが、やはりその疑惑が抜けきることはない。

「何だよ、それはあっ!」

そうヴィンセントがそう思っている傍らでは、ユフィが何故か怒っていた。

「まあったく色気がねえモン占うよなあ」

ぶつくさと文句を言っているバレットに、一体何を占ったのかと尋ねると、

「金運」

とだけ答えが返ってくる。

「なるほど、確かに…。まあそれもまた一興なんだろうが」

「一興〜?そうかあ〜?」

「バレットも占ってもらったらどうだ?」

「はん、俺はあんな他力本願みたいなモンは嫌いだな」

他力本願とはまた違うんじゃないか、と言おうとしたが、それは敢えてやめておいた。

ヴィンセントが1つモノを言えば、5は返ってきそうである。

それも面倒だった。

そんなヴィンセントやバレットの視線の先に、やがてクラウドが入り、その姿は占い師の前で留まった。

「クラウド!お前、マシな事聞けよ!」

そう叫ぶバレットにクラウドは、ただ振り返って笑う。そしてその視線はバレットから、隣のヴィンセントに移り、何となく表情が変化した。

それはごく微妙な変化だったので誰も気に留めなかっただろうが、ヴィンセントだけには顕著に見えた。

もしかして自分との事などを占うつもりじゃないだろうな、とヴィンセントは少し焦る。

所詮それは占いで、実際にどう結果が出ようともさして気にするほどの事でもないはずだが、果たしてクラウドがどう感じるかは分からなかった。

そもそもクラウドは、強気な所ばかりかと思えば、そういう訳でも無い。

たまに、支えが必要だと思わせる何かがあった。

そのバランスを保って今のクラウドがいるのだろう。

そんな事を考えながら、ヴィンセントは、はあと溜息をついた。

何故か気付くとクラウドの事を考えている自分に、何だか嫌気が差してくる。

いつの間にこんなに気持ちが膨らんでしまったのだろうか。

最初はただ、寂しさや不安を凌ぐ為だけにクラウドが望んだ事だと、そう思っていたのに、どうやらそれは意味合いを変えてきてしまっていた。

「おお、クラウド。何占ったんだ、お前さん」

「え、ええと…その…」

戻ってきたクラウドは、ヴィンセントをチラリと見遣った。

そして視線がぶつかると、すっとそれを離す。

「…金運…」

「はあっ!?お前、ぶわっかじゃねえのか!?」

思いっきり馬鹿にしたように呆れ声で言うバレットに、反論したのは何故かユフィであった。

「馬鹿だと〜!?金運の何がいけないのさあっ!」

「何って、そんな呑気な事聞く奴ぁ馬鹿に決まってらあ!」

「呑気って、金が無いと生きてけないじゃんかあっ!大体、恋愛よりは…」

「酷いっ!乙女の純情をそんなふうに言うなんて!」

「何、乙女だと!?」

どうでも良い内容…というとまた罵声が飛んできそうではあったが、とにもかくにもそんな内容でやんやと騒いでいる仲間の輪から、クラウドはそっと身を離した。

その一部始終を眺めているヴィンセントの側までやってくると、クラウドは少し困ったような表情で呟く。

「どうしよう、あれ…」

「まあ、やらせておけば良いんじゃないか?」

他人行儀なふうにそう言うヴィンセントは、本当にどうでも良いと思っているように見える。が、クラウドはヴィンセントがそこまで冷たい人間ではないことを良く理解していた。

「なあ、ヴィンセント。俺がさっき占った事、さ」

ところで、というふうにクラウドはそう切り出す。

「ああ、どうした」

「ちょっとくらい、気になった?」

「……」

何だそれは、と言い返そうと思ったが、気にならなかったといえば嘘になる。というか、実際にクラウドが何を占ったかという事よりか、クラウドの視線が気になっていたのだ。

「…さあ」

思った通りに答えるのは躊躇われて、ついそんな言葉が口をつく。悪い癖かもしれないとは思うが、どうにもならない事だった。

しかしクラウドはそんなヴィンセントの事を分かっているらしく、満足そうな笑みなどを浮かべている。

「嘘付け。本当は気になったくせに」

「そう思うなら、聞くな」

へへ、と笑うクラウドは、特に聞かれる事もないままにその内容を口にした。

実はさ、とその言葉は始まる。

「俺、この先どうなるかなあと思って。今は良いんだ、辛い状況でも皆がいてくれるし…ヴィンセントもいるしさ。だけど…」

少し真面目な顔つきになったクラウドは、無言で首を横に振ってから言葉を続けた。

「分からないんだ。あいつを倒して…それから、どうなるのかって事が」

「そんなのは誰にも分からない事だ」

そう返すヴィンセントに、クラウドは、うん、と頷く。

「そうだけど、その後に何が残るのか…そういうのが分からないんだ。今は目標がある。今までだって目標があった。それはさ、いつもあんまり良くない感情からきてたけど…。でも、もしセフィロスがいなくなったら、俺…」

セフィロスがいなくなったら、そう言う物言いに、ヴィンセントは少なからず苛立ちを覚えた。それはまるで、セフィロスがいれば生きる意味があるかのようにもとれる。

実際は反対なことは分かっているが、どうにもそれは嫌な気分にさせる言葉だった。

つい、口から毒が出てしまう。

「お前は結局、セフィロスがいないと何もできないのか?」

いけない、と思った瞬間にはクラウドが怪訝そうな顔をしていた。

そして、少し寂しそうな顔。

「……」

何かフォローの言葉の1つでもかけなくては、とそう思ったが巧い言葉が見つからない。

無言でヴィンセントを見るクラウドが、何を言って欲しかったのかは検討もついていた事だったのに。

しかし、悪い癖は抜けなかった。

「先行き不安だな」

 

 

 

占い内容の事でまだドンパチやりながらも、何だかんだと先に動き始めていた。

途中、戦闘の中でクラウドが大打撃を受けて、その時ばかりは誰もが焦った。

占いの後からどうも調子がおかしいクラウドは、どうしたの、というティファの言葉に脱力気味に笑っただけだった。

「ねえ、おかしくない、クラウド?」

ヒソヒソと言うティファに、ユフィは、うん、とごく真面目に頷いた。

「きっとアレだよ。やたら金運が悪かったんだね」

うんうん、などと勝手な解釈をしているユフィに、ティファも、

「そっか…そんなにお金に困ってたなんて…クラウド…」

と見当違いな事で深刻に悩んだ。

またその隣では、バレットがふつふつと怒りを露にしていた。

「占いなんかで調子が狂うなんざ女々しいったらないぜ。大体、何が悲しくて敵にケアルガかけたり、自分の剣で自分の手ェ切ったりすんだよ。なあ?」

「知らねえよ、俺様に聞くんじゃねえ」

話を振った先のシドがつれないので、今度は同じようにヴィンセントに振る。

「なあ、ヴィンセント。そう思うだろ?」

「え…ああ、そうだな」

運悪く話を振られ、ヴィンセントは適当な答えを返した。

先頭を行くクラウドは、確かにどうもおかしかった。何だか集中できないでいるようだ。

その原因は、ヴィンセント自身が一番良く分かっていた。

先ほどの言葉がクラウドに打撃をあたえたのは言うもでもない事で、それに対して何のフォローもしないままなのだから。

あれから先、クラウドはヴィンセントにはおろか、誰にも話しかけようとしなかった。ただ、話を振られれば返す、それだけの状態。

どうにかしないと、皆の方までストレスが溜まる――そう思ったヴィンセントは、手近な町に着いたら、クラウドと話さなくては…そう思っていた。

 

 

 

 

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