「んっ…っ」

段々、意識が朦朧としてくる。

こういう時、体と心は別だとかいう訳の分からない言葉が本当かもしれないと思う。

さらに下降し、抉り込まれるように埋められた指先。それが鋭い勢いでクラウドの奥を突いた。

「あっ…ちょっ…と、もう…」

漏れるような声に変わっていたのは、自分でも気付かない事だった。

そんなふうになってからやっと、ヴィンセントの口が開いた。

その時にはもう意識も溺れ果てていた。それがいつもと違うとか、それに腹が立つだとか、そういう事などどうでも良くなっていた。

ただひたすら、目前の体にしがみ付くだけ…。

「どうする?」

ヴィンセントが放った言葉はそれだけだった。

「な、に…?」

半分閉ざされた目で、クラウドは聞き返す。

「どうする?」

「ど、するっ…て…入れない、の?」

「そうか?」

その言葉と同時に、ヴィンセントは勢い良くクラウドの中に入り込む。多少の慣らしはしてあるものの、やはり性急なやり方だった。

思わず表情を歪ませたクラウドは、そのまま続く律動に息を漏らす。

打ち上げられていくような感覚が襲った。

何だかんだと、そうさせるまでの十分な昂ぶりを与えられていた事に気付く。とはいえ、それもどうでも良い事だった。

堪え切れずに、絶え間ない声が漏れた

それを塞ぐようにまた、あのキス。

潜り込む舌先に、もっと、と求めるような動きで絡みつく。

もう、全部どうでも良いかも―――。

そう微かに思った。

 

が。

 

「あっ…!」

あまりの感覚にクラウドは体をよじらせた。その時、何かに縋り付くように手を伸ばしたその先に、何かが当たった。

それが何かなどという事を考える余地は無い。

限界近くまで昇り詰める感覚に、それを掴み、思わず力が入った。

そしてそれは空中に舞った。

 

ドサリ。

 

音がした。

「…え…?」

急に止まったヴィンセントの動きに、クラウドは半分だけ我に返る。

見ると、そこに。

「あーっ!!ヴィンセントーっ!!」

目前には、粉まみれになったヴィンセントが固まっていた。

掴んだものが、アイテムの袋だった事が一瞬にして分かった。

完全に我に返ったクラウドは、ヴィンセントの頭にかぶさった粉を必死に払った。

「ごめん、ごめんっ!」

ぱぱっと払いながら、ヴィンセントを見る。

「―――って、アレ?」

見れば、粉の中でヴィンセントが呆けたような顔つきでいる。

そしてヴィンセントはポツリと呟く。

「…何故、服を脱いでいるのだ…?」

「え…。もしかして覚えてないの、か?」

訳が分からないといったふうに首を傾げるヴィンセントに、クラウドは唖然とする。そうしてから今度は気が抜けたようにヘナリと座り込んだ。

「…何だ…そっか、覚えて無いんだ…」

そう言いながら、ふと脇で無残な姿になっているアイテムの袋を見た。

そこには、色んなアイテムの粉が混ざって散らばっており、粉末の入っていた袋も散々な状態だった。

「―――あ」

その中の一つには、こう書いてあった。

「“鎮静剤”〜っ!?」

全ての謎が解けたのは、そのすぐ後にヴィンセントがクシャミをした瞬間だった。

 

 

 

「クラウド〜っ!!」

かんかんに怒ったティファが、クラウドをなじっていた。

全くである。

何せ必死でギル稼ぎでをする側から、溜め込んでおいたアイテムを全部パーにしてしまったのだから、当然のリアクションだ。

「もう台無しじゃないっ!どうしてくれんのよ〜っ!」

「いや、これには訳が…っ」

そう言いながらも理由は口が裂けても言えない。

「問答無用ですっ!明日からはクラウド、戦ってよね!」

お冠のティファはそんな事を言う。それは薬をヴィンセントに渡した時から覚悟していた言葉だったが、実際に言われるとは、とガクリと落胆する。

そんな二人のやりとりの間に、ユフィは不思議そうに首を傾げていた。

「何で興奮剤だけ別に袋が落ちてるんだろ…?」

そう呟くユフィの隣で、ヴィンセントは溜息を付いた。

その顔は、風邪とは別に少し赤かった。

 

薬は間違える事なかれ、がその後暫くクラウドの心の言葉になったのは言うまでもない。

 

 

そしてどういう訳か、暫くは、ヴィンセントとベットを共にする時に興奮剤を忍び持っていってしまうクラウドがいた。

 

 

END

 

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