Shin-Ra Syndrome [ 1st section ]
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- DELEATE - 罪人の行方…
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無線で連絡を取る。 とても極秘に、そして無感情に。 「…やったのか?」 『……はい』 「分かった」 それだけのやりとり。けれどそれだけの言葉だけで全てが分かってしまう。それをしかと聞いた後に、ルーファウスは無線を静かに切った。そうしてから、操縦士に向かって、やや冷静にこう言った。 「悪い。本社に戻ってくれ」 その一言だけで、ルーファウスを乗せたヘリは、旋回をして神羅本社ビルへと向かい始めた。
反神羅組織のアバランチが本社に侵入しているという報告を聞いて、ツォンは少しばかり焦っていた。その存在は確かに追ってはいたが、まさかこんな時に潜り込んでくるとは思いもしなかった。 神羅本社ビルの61階、オープンスペースのリフレッシュルームで、ツォンは呼吸を整えながら隅の方に腰を下ろした。なるべく誰にも見られないように、顔は俯きがちにしておく。連絡では、もうアバランチはこの階を通り過ぎたらしい。 危機一髪とでもいおうか。 少しばかり落ち着かない手つきで、タイを締めなおす。もう一度呼吸を整えると、ツォンは俯きながらも少しばかり優しい顔つきになった。 誰に向けるわけでもないその笑顔は、奇妙な妖しさを要していた。
例え許されない罪でも、誰も私を裁くことはできない。
神羅カンパニー社長、プレジデント神羅が死んだと報道されたのは、翌日のことだった。神羅カンパニー内ではアバランチの動向の方が気にされていたが、それと同時に即、ルーファウスへの期待が集まっていた。 社長不在の期間――――それが、早く早くと新社長樹立をかきたてる。 その言葉を方々から聞きながら、ルーファウスは思っていた。 無残な人生だ。 父親は他界した。生前はこの会社の統率をしていた。抱える社員は数え切れない。そういった事実があるにも関わらず、世間はもう既に違うものを求めている。 誰にも振り返られることの無い、惨めな男――――。 「馬鹿らしいな…」 この肩書きが示すものは、そういったことなのだろう。象徴としてそこにいる。そしてどんなに頑張ってみても、誰もそれを口にはしない。振り返りもしない。 大袈裟に声を出して、世辞を言うのがせいぜいだろう。 しかし、自分もとうとうその時がやってきたのだ。その肩書きを持つ時が。 そう思いながら、ルーファウスはコンピュータの電源をONにした。パスワードを請求され、それにすらりと文字を入れてやると、すぐに指定の画面が現れる。そこから更に進むと、取引先のリストが一覧になって表示された。 「いち、に、さん……」 それを少しづつスクロールしながら、ルーファウスは何かを数えだす。 「なな、はち、きゅう……」 数え上げる内に、急激に笑いが込み上げた。声を出すまでのものではなかったが、口が笑ってしまうのはさすがに抑え切れなかった。 「じゅうご、じゅうろく……あと、一人」 そう言って、その最後の十七番目の名前を指でなぞった。もうすぐで、全てが終わる。いや、始まるのかもしれない。 あまりにも馬鹿らしい現実が、これで綺麗さっぱりと消える。 それはルーファウスにとっては至極可笑しいことだった。所詮、この世界はそういうふうにできている。何かを与えるなら、何かを貰う。それが妥当だ。確か古代にもそんな法典があったな、などと思いながら思考を巡らせた。そうする内に、やはりあの父親のことが浮かんだ。 「…教えられたことは、あったかもな」 そう呟くと、ルーファウスはコンピュータの電源を切り始めた。 あの父親に教えられたことは、全部汚いことだったように思う。仕事のやり方などを含めればまた話は別だったが、人間性からいえばそれだけだった。 あの父親が与えてくれたのは、一言で言えば、“痛み”。 だがルーファウスにとって今やそれは、相互関係という図式の中に組み込まれていた。痛みを与えられた。だから、痛みを与えてやった。 ただ、それだけのことだ。 「罪人は、どこに行くかな。…地獄の果てか」 そう漏らして、デスクの上にあった写真立てを見つめる。 70階の司令室は今まで父親が独占してきた。だからそこにあるのは父親のものばかりである。その中には悪趣味にも自分の栄誉を称えた写真などもあって、それを見ると吐き気がした。どこに名誉などがあるのだろうか。 おもむろにそれを手に取ると、ルーファウスはそれを思い切り床に投げつけてやった。 バリン――― 硬質の床にそれは無残にも落ち、はめられていたガラスは粉々に割れた。 「――――――さよなら」 そう言った顔は、とても柔らかい笑みを見せていた。
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