Shin-Ra Syndrome [ 1st section ]
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- CONTACT(2) - 反乱分子…
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上手い具合にこの反乱分子と接触することができたヴィンセントは、そのまま食事などを共にして話に参加した。話というのは彼らの企み云々という内容ではなく、どちらかというとヴィンセント側の話だった。さすがにまだ完璧に受け入れてはくれないらしい…当然かもしれないが。 身の上話をいくつかしなくてはならなくなったヴィンセントは、仕方なしに作り話を口にして間を繋いだ。ポーカーフェイスは必須、とにかく身元がばれてしまったら元もこもない。それどころか、疑いすらかけさせてはいけない。 いくつかの身の上話の中で唯一安心して話すことができたのは、第二の故郷として以前身を置いていた村のことだった。その村は小さくて、それでも気さくな人間達の住む村で、とても居心地が良かった。狩猟が主な村だから若者という若者は大抵そこそこの年になると村を出て行ってしまう。その中で他所からきてその村にいついたヴィンセントのような青年は、とても珍しかった。理由はそれだけではないが、そんなこともあって大層良くしてもらった覚えがある。 「お前、仕事を探しにミッドに来たといっていたが…今は何をして身をたてている?」 銀髪の男にそう問われ、ヴィンセントはなるべく時間を稼ぐように笑ったりした。それから、少し落ち込んだような顔をしてみせる。 「今か…今はお蔭様で何もしてないんだ。求職中というやつかな。俺としてはこの腕を活かせる仕事ができればと思うんだが…此処ではなかなか役に立たないからな」 「村にいた方が仕事もあったのではないか?」 良いところをつくな、そう心の中で毒づきながらヴィンセントはこう否定したりする。何とか切り抜けなければ。 「そうなんだ。でもミッドガルは今、急成長だろう?だから護衛の仕事でもあるかと思ったんだ。大体、これが良いだろう、都会の方が」 そう言って手であるジェスチャーをする。 それを見た銀髪の男は、確かに、と納得の言葉を漏らしながら頷く。 「金か…シビアな問題だな。しかし現状ミッドは急迫している。表向きは成長を遂げているが、その実裏は空洞だ。あの企業が現れてからは、な」 少しも笑わない真面目な顔でそう言う銀髪の男は、やっと本題ともいえるべき内容の言葉を垣間見せる。 「ああ…神羅とかいう」 知らないふりを装ってそう同意したヴィンセントは、静かに呼吸を整えた。 此処からが本題―――――とにかくまずは猜疑心を払拭しなければ。 同じ仲間か若しくは中立の立場まで持っていけば、何とか計画の一部を聞き出すこともできるだろう。上手くいけば、それに参加するところまで持っていけるかもしれない。 そうすれば―――叩ける。 しかしそう完全に神羅の意向に忠実になるには、その反乱分子たる男たちは真面目だった。彼らの口調はあくまで慎重で、整理された理由や原因をもって神羅を敵としているのだ。 「企業っていうのは初めての存在だからな。ミッドも踊らされてるのかもしれないぜ?」 金髪の男がそう言ったのに対し、銀髪の男はしっかりした口調でこう返す。 「そうだろうか。市は気付いているのではないか?」 「気付いてるって…じゃあ知ってて飲まれてるってことか?」 「ああ、そうだ。ミッドはこれといって特徴のない土地だったからな、アレの存在はある程度、市の活性化に利用できるとでも考えたんだろう。しかしこのままでは完全に形成逆転だ。もし神羅の紛争助長の延長で、火花がミッドに降りかかってみろ。神羅を狙ったとしてもミッドも全壊だろう」 最悪な筋書きだな、そう零しながら金髪の男が溜息を吐く。 銀髪の男の方はいかにも冷静で、そう言った後も何やら考えているようで黙り込んでいる。その双方を見遣ってヴィンセントは判断をした。 この反乱分子のヘッドは――――金髪の方だろう。 本来なら口調からして銀髪の方のような気がするが、それは多分違う。この銀髪の男は誰かと群れるというタイプではなさそうだし、いざとなれば一人で行動を起こすタイプだ。となると、数人を纏め上げるべきヘ ッドとなるのは金髪。銀髪はいわば黒幕といった感じ。 ただ、指示の大元…つまり作戦の詳細を練るのは銀髪に違いない。 となれば、ヘッドである金髪より先にこの銀髪を叩くべきである。その後は空洞と化したヘッドを柔らかく叩けばいいのだ。その構図は何だか、この男たちのいうミッドガルと神羅の関係にも似ている…そんな事をヴィンセントは考えていた。 「あんたら…もしかしてテロでも起こす気か?」 なるべく驚く顔をしてヴィンセントはそう話を振る。いかにも、信じられないとでもいうように。 「テロ?」 そう繰り返して少し眉をひそめたのは、銀髪の方だった。 「そんな言葉で括ってくれるな。俺達はあくまでミッドの味方だ」 「へえ…。アンタ達、ミッドガル市の何かなわけか?」 「……」 意外にもそこで銀髪は口を噤んだ。もしかしたら触れては危険な領域だったかと思ったが、それはヴィンセントの危惧するような事柄ではなかったらしい。 フォローするような金髪の男の言葉が、すぐにそれを教えてくれた。 「それ、禁句だぜ。こいつにはな。ミッドの何かも何かだったんだから。元エリート兵士のボス」 「エリート兵士のボス…?」 そんな話は聞いたことがない。しかしそれも当然かもしれない、実際にヴィンセントはここ何年かくらいのミッドガルしか知らないのだから。 「そ。ミッドが今みたいに腐る前の話だけどな。市長の元専属護衛兼秘書。ついでに言えば治安関係の責任者でもあった。凄い経歴だろう?」 「なるほど…確かに驚いたな」 そう説明をされた当の本人はあくまで黙ったままだった。彼には触れられたくない過去なのだろうが、それを止めないというのはどういう心情なのだろうか。 しかしそれは元の話であって今の話ではない。つまり、この反乱分子の過去が分かったとはいえ、今どれほどの力を有しているのかがヴィンセントには汲み取れなかった。 そういえば、この説明している男の方はどうなのだろう。 そんな事を思ってヴィンセントは気軽にそこを口に出す。 「ということはエリート友達ってわけか?」 「残念、俺は違うんだ。俺は単なる市民。まあ…こいつと知り合ったキッカケを考えると、仕事的には近かったんだろうがな。俺は副業で傭兵してたんでね。市に雇われたトコからこいつとは友達なわけ」 そう気さくに身の上話を進める金髪の男に、やっと銀髪の方が口を出した。 「喋りすぎだ、フィル」 「ああ、悪い」 ――――――フィル、そんな名なのか。 確認するようにもう一度心の中でその名を呟いてから、ヴィンセントは銀髪の方に顔を向けた。 すると、ふっと彼と目があった。 それから銀髪の男は静かな口調でこう、自分の名を名乗る。 「俺は、セフィロスだ」 ――――――セフィロス…珍しい名だ。 とにかく名前を聞くまでに至ったのは良かった。ここまで来れば少しは心も緩んだことだろう。とはいえ、ヴィンセントの方は此処から更に心を引き締めねばならないのだが。 取り敢えずは自分の名前も名乗ると、ヴィンセントは軽く笑って、出会いに乾杯をしようなどと言った。 新しい酒が運び込まれ、そこから乾杯をする。 叩かねば―――――それはその場にいた三人全ての心にあった共通項。 けれどその決意は、その乾杯を合図に徐々に崩れ去ることになった。
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