仲人の疑問

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「あのさあ…英雄サンのどこがそんなに言い訳よ?」

最近めっきりザックスの中で定着しつつあるセフィロスとクラウドの関係。

しかし、彼には疑問があった。

クラウドに会った矢先、ザックスは立ち話の状態でそれをズバリ聞いてのける。

「え、どこがって…」

いきなり思いがけない質問をくらい、クラウドは驚いた。

しかし、う〜ん、と少し思案気な顔をしたのも束の間で、直ぐにカラッとした表情になる。

「うまいトコ?」

「ぐえッ!!」

思わず蒼褪めるザックスに、クラウドは「嘘だよ、嘘!」とフォローを入れる。

嘘でもそういう事は言うなよ、とザックスはゲッソリした。

とはいえ、クラウドのようにセフィロスを慕う訓練生は掃いて捨てるほどいるのは、周知の事実だった。

「どういう訳なのかねえ…」

やはり納得がいかないように、ザックスは溜息を吐いた。

 

 

 

「社長の護衛だと?」

「そうそう、何だかそういう事らしいんで。ま、取り敢えず宜しく」

ザックスの持ち込んだ話に、セフィロスはあからさまに嫌な顔をした。

持ち込んだとはいっても実際ザックスは伝言を頼まれた訳で、そもそもはセフィロスに対しての話である。

「おい待て。タークスは?」

「ああ、あの人達。何だかご令息殿の手中らしいなあ。でもアレじゃないか?」

「何だ」

ザックスは、へっへ、と笑いながら、

「結局は自慢したいってトコロだろ?」

と言った。

“英雄”は何も神羅内だけのものじゃない。今や名も通ったセフィロスは、力の無い上 司にとっては「権力の象徴」といっても良かった。

その言葉を受けて、セフィロスは「呆れたもんだ」と髪を掻き上げる。

「たった数時間の物見遊山だろうが。何でわざわざ…」

内容といったら無いに等しい「定期チェック」。普段はソルジャーと入っても1stがつく事など無い筈が、こういう時に限って飾りたてを欲しがる。

大体あの人って本当にチェックしてんのかねえ、などと軽く言うザックスに、セフィロスは溜息をついた。

「お前が行け」

いきなり話を振られて、ザックスは思わず咳き込んだ。

「ちょ!勘弁だって。あんな憂鬱そうな…いやいや、っていうか英雄さん御指名だしさ」

「それが気に食わん」

「って言われてもな〜」

そう言いながら、ザックスははたと思いついた。

「あ、そうだ!誰か連れてけば?」

「は?」

いや、だからさ、話し相手に誰か連れてけば良いじゃんか、と嬉々としてザックスはナイスな提案を押した。

どうせあの社長には分かる筈も無い。セフィロス以下、誰がどういう立場だとか、そういう事さえ。

「…クラウドでも良いし」

三日月目になりながら、そっとそんな言葉を出してみる。

とはいえ、ザックスにはセフィロスがどう思っているのかはまだ分からなかった。

クラウドの方は随分とご執心な様子だったが、果たしてそれはセフィロスにとっても同じなのかどうか、やはりこれも疑問だったりする。

「きっとクラウドの奴、喜ぶだろうなあ」

「…あのな」

「ほら、社長が一人でどっか見てる時なんか絶好のチャンス?」

「何のだ、何の」

「その限られた時間がまた、切ない気持ちを生んじゃったり…」

「切…って。お前が言うな」

「はあ〜どうよ、旦那!」

「阿呆」

「ひどっ!」

全くお前には付いていけん、と呆れ声で言うセフィロスに、ザックスはニカッと笑う。

そして興味から詮索するような眼差しで、ずっと思っていた疑問をやはり、ズバリと聞いてのけた。

「―――で。どう思ってんの、クラウドの事?」

 

 

 

何だかんだといって、ザックスの提案通りにクラウドはお忍びでついていく事になった。

普通のミッションとは違う、重要性があまり無い事柄だからだよ、とクラウドは言っていたが、ザックスは「絶対そういう理由じゃない」と思った。

何せそれを勧めたのは誰でも無い自分だったのだから。とはいえ、セフィロスはクラウドにその部分は話していないらしかった。

 

セフィロス曰く、物見遊山のその日、ザックスはトレーニングしながら溜息が止まらなかった。

どういう訳か前日である昨日に、セフィロスはザックスの疑問に答えてきたのだ。

『この前の話だが』

『お、とうとう答えが聞けるんだな』

ザックスはどんな答えが出てくるものかと楽しみで仕方なかったが、大体のところは予想がついていた。

どうせセフィロスの事だから、暇潰しだとか、からかい甲斐があるだとか、そういうふうにくるのだろう。そう思っていた。

が。

セフィロスはごく真面目な顔でこう言った。

『まずまずの感度だから』

『ぶがっ!』

ザックスは思わず呼吸が苦しくなり、またまたゲッソリした。

その隣で、セフィロスはまだ真面目な顔のまま呟く。

『……というのは嘘だがな』

それだけ言うと、セフィロスは蒼褪めたザックスに目もくれずに去っていった。

その一部始終を思い出し、ザックスはやはり重い溜息をついてしまう。

今頃どんな展開になっていることやら、自分で言ったものの嫌気がさしたのは言うまでも無い。

 

「ホント。どうにかしてくれ、あいつら…」

何だかんだ言って、ザックスの疑問は深まるばかりだったという。

 

 

 

END

 

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