HAPPINESS THINKING |
| 先程からルーファウスは怒っている。 怒っているのはそうなのだが・・・何故怒っているのか、まるで理解が出来ないルードであった。 「あのですね、ルーファウスさま」 「え? なになに!」 最初は笑顔満面だった。 振り向く笑顔は輝かんばかりに輝いて、まるでお日様を裸眼で見たような気持ちに、ルードはなった。 「どちらに行かれるんですか?」 しかし、その笑顔はこの質問で消えた。 「どこだって良いだろう! 部下が上司に質問なんて、普段は許されるものじゃない」 「はぁ・・・」 部下――といっても、ルードはルーファウス直下の部下じゃないからして、個人的に呼び出されて護衛の役を貰うのも、何かおかしいと思うのだが・・・。 確かに、最近会えなかったし、顔を見れるだけでも嬉しいと思うのだが、せめて行き先だけでも知らせてもらえないと、護衛の意味は殆どない。安全な道を選ぶことも出来ないのだ。 まぁ、まだ神羅の敷地内だから良いのだろうが・・・。 「とろでルーファウスさま」 「え? なになに?」 再び笑顔が振り向く。 「このまま敷地内を出るおつもりですか?」 「・・・どうだって良いだろう? そんなこと・・・」 一瞬で萎むルーファウス。 何か変なものでも食べたのだろうか? ルードは妙なところが気になった。 浮いたり沈んだり怒ったり、本当に副社長は大変だ。 思っているのは、ルードではなく、相棒のレノの方だ。 ルードは別に、一緒に歩けるだけでも構わないと思う。 誰にも内緒だが、つい先日のこと、長い誤解と短い片想いの果てに、恋人となった相手である。 我がままも可愛いものだ。と言えば、またぞろレノ辺りに馬鹿にされるのかもしれないが・・・。 そう言えば、盛大な羞恥告白合戦をした後から、一度たりともデートのようなものをしていないことに気付く。 そろそろお暇になられるだろうし、誘ってみるか。 「ルーファウスさま?」 今度は、笑顔がなかった。なんだか困ったような泣きそうなような、怒っているような・・・複雑怪奇な顔で振り向く。 「今度はなに?」 「いえ、近々お暇な日はありませんか? 一応・・・その・・・」 ルードは赤くなる。 「ええとですね・・・デートでも・・・いかがか・・・と思いまして・・・」 ルーファウスはぽかんとルードを見上げる。 「デート?」 「あ、はぁ・・・あ、お暇なら、で良いんです。勿論」 お暇なら、を強調するルードに、少しばかり表情が怒りに歪むルーファウス。 「暇じゃなくても、暇を合わせるよ! それくらい、出来る!」 「いやしかし・・・」 ルーファウスはルードの見事なハゲ頭に、伸び上がって平手を叩き込む。 「どうしてそんなに遠慮するんだ! 恋人なのに、これまでデートにも誘ってこないし! こんなあからさまに護衛の任務与えても、全然何もしてこようとしないし! 本当は私のことが好きなんて、嘘なんだな!」 「は?」 ルードはぽかんとルーファウスを見る。 「どうしてそうなるんです?」 「だって! 普通こんな人気のないところを一緒に歩いてたりしたら、何かしたくなるものだろう、本当に好きだったら!」 言われて初めて、ルードはここが神羅重役以上の者しか侵入することが出来ないエリアだということに気付く。 「こ、ここは・・・」 このまま進んでいくと、神羅一族のプライベート空間にたどり着く。そこには、勿論ルーファウスの私室もあるということだ。 「う・・・」 途端に怪しげな雰囲気になるルード。 仕事から離れてしまえば、ルードだってただの男である。 怒ってそっぽを向いているルーファウスの腕と腰を捕え――。 「それでは遠慮なく・・・」 抱き寄せる。 「遅いんだよ・・・」 それでも、抵抗するまでもなくルードの腕に収まった、気位が高くて可愛い恋人は、降りてくるハゲの唇を、甘んじて受け止めたのであった。 |
| 終わり |
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