ゴミ そんな急かすなよ、すぐ挿れてやるから。 ホント、あんたにゃ適わねえよ。 調子の良いスローダンスは許されない、あくまでリズミカルなハードダンスだけがあんたのお眼鏡にかなう。 底無しのアンタの性欲をどこまで飲み込めるかが試される、これは想像を絶する精神忍耐力の極致。 オレは何をするか…答えは「何もしない」で決まり。理由は簡単、「何もしないこと」がアンタの望みだからさ。 オレは単なる快楽提供者、竿さえありゃ問題ない。 まあその竿だって堅くてデカくなけりゃアンタの機嫌は急下降だろうけどな。 とにかくオレは、アンタを喜ばす必要もなければ動く必要すらない。そこに前戯なんつー面倒なこともない。女みたいに、奉仕して濡らしとかなきゃなんて焦りもない。何しろアンタは自分のケツに、自分でちゃんとローション塗ったくっていつでも準備万端なんだから。 そんで俺はそのケツが降りてくるのを待つだけ、そう、たったそんだけさ。 それが俺の快楽提供法。アンタが望んでる、一番イケてるセックスの仕方。 アンタはいつだってそう、自信満々で俺に命令するんだ。 「早くズボンを下ろしたらどうだ?」 えげつねえな。アンタときたら俺が来た瞬間にそんなふうに言う。しかも服を脱げってのとはまたワケが違うんだ、アンタときたら「ズボンを」ってな表現をする。その意味?そりゃ勿論、俺の竿さえありゃ良いってことだ。 俺の上半身なんてアンタにゃ不必要。ゴミと一緒だ。 つまりそれは、俺のココロとかキモチってのもゴミと一緒ってこと。アンタが求めてんのは、固くてデカいペニスだけ。結局のとこ、自分がキモチ良くなれりゃそれだけで良いってことだ。 それでも俺が唯一誇れることはあるぜ。 別に俺のがデカいからとかそういう意味じゃないぜ、これはもっとメンタルなことだ。アンタが俺をご指名するってことが、俺の誇りなわけだよ。どうしてかってーと、アンタにとっちゃこんな相手は誰でも良い筈だから。 それなのに俺を呼ぶのはどうしてか?その答えは何かってーと、つまりアンタは、そういう事をしたいくせにそうできる相手すらいないって事さ。いくら偉ぶって命令なんかしたって無駄、アンタの弱みは見えてんのさ。 それでも俺が相手をしてやってんのは、そういうアンタがまんざらでもないって思うからだ。どれだけ隠したってアンタの弱みはミエミエ、それでも俺を頼らなきゃなんないそんなアンタに、俺は少し同情しちまうよ。だからかな、俺がアンタの言いなり通りこうして、自分の手でしごいておっ勃てるのはさ。 ベットの上、俺は俺の"仕事"をしながらアンタを見てる。 良いな、その細めの首筋といい、白っぽい肌といい。まあまあイケるよ。それでもアンタは俺にこう命令するわけだ。 「ザックス、分かってるだろうな?絶対、動くなよ」 「はいはい」 分かってますって"ルーファウス様"。アンタのお望み通り、俺は今日も木偶の坊になってやるぜ。絶対動くもんかっての。俺はただアンタが腰下ろしてくんの待ってるだけ、それ以上の手出しは無用。そこで動こうモンなら、多分そこでお役ゴメン。まあそういうパターンもやってみたいけど、今のところはそれはやめておく。何しろ俺は従順な快楽提供者だからな。 で、アンタはすっかり"ズボン"を下ろして準備を進めてる。 まずは穴にローションべっとりつけて…穴を指でこじ開けて、そん中引っ掻き回して。俺はそれを何一つ手伝わないで、ただただ俺のが勃つようにしごいてる。何でこういう妙な光景があるかってーと、それは簡単。 それがルールだからだ。 アンタと俺がこれからヤルのは、多分セックス。だけどそりゃ、アンタが動くだけのもんで俺はただ身体の一部を提供するってだけ。このルールは勿論、目の前で穴広げてるアイツが考えたことで俺の考えじゃない。 俺だって愛ある優しいセックスくらいできるんだぜ。だけどそれは必要ないんだって言うから、俺はそれはしないんだ。それどころか「動くな」とまで言う。 そりゃそーだ、俺っていう頭はゴミそのものなんだから。 アンタはそこそこ適当に広げた穴でもって俺に跨ってくる。俺は散々しごいた俺の大切な息子をそこに突き入れてやるのさ。なあ、アンタ本当に酷い奴だよ、何だってこういう時だけそんな幸せそうな顔するんだか。 俺はその途端に、ゴミになる。 俺はひっそり持ったココロとかキモチをどっかに捨てて、ゴミになる。 俺はただ黙ってじっと動かずに、俺のが刺激されてイきそうになるのを待ってるだけで、アンタは必死になって腰を動かす。 なんて馬鹿馬鹿しいセックス、だけどアンタの最高のセックス。 「う…っ、ああっ」 アンタが喘ぐ声が耳に入ってきて、俺は黙って目を閉じた。 アンタは知らないだろう?目を瞑ってりゃ想像なんていくらでもできるってことをさ。俺は閉じた目の中で、俺流の優しいセックスをしてる夢を見んだ。アンタは俺の下にいて、俺はアンタを満たすために動いてる。そんな馬鹿馬鹿しい夢さ。 アンタの声さえありゃ出来る、本当に安上がりな夢。こんな夢を見ようとして眼を瞑る俺は、かなりの阿呆だろうな。 「あっ、あっああ…っ!」 「……」 ただただ聞いてやるよ、アンタの声を。 俺は夢の中でそう思う。 だけどたまには奇跡ってのも起こるらしい。それは勿論このセックスのルールが覆されるようなモンじゃなかったけど、だけどさ…。 多分―――――この時、もっと大きな奇跡が起こったんだ。 「は…あっ、……クス…っ」 ハッキリ言って俺は耳を疑った。とうとう腐っちまったんじゃないかって思った。 だから、夢から逆戻りで悶え顔のアンタの見てみる。その中でも俺は口元だけをじっと見詰めてた。だって今、その口から奇跡が起こったような気がしたからさ。 でも結果は残念賞…俺がそうして口元を見てると、その奇跡ってのは本当に奇跡だったんだってことがハッキリした。何でかって?そりゃさ、それ以降奇跡なんか起こりゃしなかったからさ。 俺は一瞬、この"ルーファウス様"が俺の名前を呼んだような気がした。だけどどうやらそれは奇跡だったらしい。それが証拠に、その口はもう喘ぎ声に忙しくて俺のことなんか思い出す暇もないらしいからな。 ああ、そうかよ。 そりゃそうだよな。 俺とアンタは所詮こんだけの存在。セックスだけが命綱、他のモンはただのゴミ。 俺は一瞬夢から覚めて本物の夢を見た気がしたけど、それはゴミの理想に過ぎないって話だ。ゴミはゴミらしく動かずじっとしてりゃ良いんだろうな。 俺は待ってる。 俺がイく時をじっと待ってる。 アンタがイく時をじっと待ってる。 それから―――――アンタがホントの奇跡を起こす時を、待ってる。 じっとじっとじっと、ゴミのまま。 END |
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