「ねえねえ、たまには京悟抜きでお団子食べに行こうよ!アイツがいると色々うるさいしさ、ね、行こうよ龍斗?」
感情入力:同
「うん、よっし!じゃあ藍も誘ってお団子だあ」
かくて、うるさい京悟を抜かして団子屋に行くことになった三人。
雄慶を誘うことは専ら頭に無かったらしい小鈴は、先頭に立って龍斗と藍を引きつれ、団子屋の暖簾を潜った。
団子屋は最早常連と化した龍閃組の面々を見て気前の良い笑顔を見せたが、いつもだったら絶対にいるはずの人間がいなかった事で「へえ」と声を鳴らす。
「あれ、今日はあの兄ちゃんはいないのかい」
「あの兄ちゃんって、もしかして京悟?」
「さあ、名前は知らんがね。ホラ、粋の良い兄ちゃんよ。こう、髪をひとっくくりにした…」
「ああ、アイツなら今日は置いてきたのッ。いつもうるさいから」
そう言って笑った小鈴は、早々にも団子を三人前頼んだ。
気前の良い店主が手際よく持ってきた茶を啜りながら、三人は暫し話しに花を咲かせる。
「うふふ、あのご亭主には京悟さん抜きという事がとても珍しいのね。きっと私たちの中で一番目立っているから…」
藍がそんな事を言って慎ましやかに笑うものだから、小鈴は思わずむくれて反論した。まあ確かに京悟は目だっているが、まるで棟梁か何かみたいに思われても困る。
「まあね、アイツは派手だから。でもさ〜、何であたしと藍を差し置いてまで京悟なわけ?こんなに華があるのにさあ」
「まあ、小鈴ちゃんったら」
恥ずかしそうに笑う藍に「だって本当だもん」と強調した小鈴が、今度は龍斗を振り返って同意を求めた。
「ね、龍斗だってそう思うでしょ?」
感情入力:悩
「ちょっとお!何も悩むことないでしょ!?ホント男の子って何でかいっつも同性の肩持つよね。じゃあ、あたしたちには華が無いっていうの?」
「こ、小鈴ちゃん。龍斗も困ってるし、その話はまた後でにしましょう」
「だって!」
「それにほら、もうお団子も来たわ」
丁度良い具合にやってきた団子に、小鈴は続きをいえなくなってしまった。しかし今迄の怒りもなんのその、団子が来たとなれば怒りも喜びに変わるというものである。
目の前にやってきた艶やかな団子に手を伸ばした一堂は、暫しその味を堪能した。
「美味し〜。やっぱりお団子だねッ」
「そうね、此処のお団子は本当に美味しいわ」
感情入力:愛
「あ、龍斗。今すっごく幸せそうな顔した。…それって華より団子とか言いたいんでしょ!?」
感情入力:喜
「何でそこで喜ぶんだよッ!龍斗の馬鹿ッ!」
「ま、まあまあ…小鈴ちゃん」
いつも仲介を務める藍も、さすがに苦笑気味である。折角団子で幸せになっていたというのに、これではも言い争いに後戻りになってしまう。
そこで藍は、龍斗に笑って問いかけた。
「龍斗も此処のお団子が好きなのよね?確かに一緒に食べる人というのは大切だけれど、そのものの美味しさも大切だもの。そうじゃないかしら?」
感情入力:同
「ええ、そうね。私もそう思うわ」
藍のおかげで何とか美味く纏まったその場はようやく静かなものと戻り、一同は残りの団子を楽しむことに専念する。
しかし暫くして、団子を食べ終えた小鈴が小さくこう切り出した。
「ねえ、さっき藍が言った事だけどさ。一緒に食べる人って…例えばだよ、二人にとっては誰でも良いのかな?」
「そうね。でも今日のお団子だったら…私は二人と食べれて嬉しかったわ」
藍がそう返したことで、小鈴は照れたように笑う。
しかし問題は藍ではない。そうではなく、その隣に座っている龍斗の方だった。
「えっと…じゃあさ、龍斗はどうなのかな。今日はその…ボクと藍で良かったって思ってる?」
何故か妙に緊張した顔でそう聞いてくる小鈴に、龍斗は…。
感情入力:悩
「…それって、嫌だったって…そういう事?」
「龍斗…」
いよいよ藍まで悲壮そうな顔つきをする始末。
その中で小鈴は、やけになったように別の事を言い出した。やけになったように、というかそのものなのだろうが。
「分かってるよ…。僕がいけないんだろ、どうせ僕は女の子らしくないし、龍斗にとって僕なんか女の子に見えないんだ…ッ」
感情入力:悲
「同情なんか要らないよッ!龍斗の馬鹿――ッ!!」
「あッ、小鈴ちゃん」
勘定も払わずにその場を立ち去ろうとする小鈴を、藍が必死に止めに入る。しかし小鈴は既に聞く耳持たずにその場を去る決意だったらしく、いつもだったら藍の行動には肯定派であるのにその時ばかりは止める手を振り払った。
「小鈴ちゃん…ッ!!」
ピシャ、と音をさせて店を出ていく小鈴。
それを見て、藍もその後ろ姿を追ってその場を去っていった。
…かくて、その場に残された龍斗。
当然、残るは――――――勘定のみである。
「お客さん、勘定の方頼みますよ」
感情入力:悲
「だって仕方無いじゃないですか。お連れさん、もう帰られちまいましたし。頼みますぜ」
店主にそういわれ、仕方なく三人前の団子代を払う龍斗。
それを受け取った店主は、確かに、と頷いた後に、
「余計なお世話かもしれませんがねえ…女を怒らすのはいけねえですぜ」
などと漏らした。
…感情入力:同!!(←やや強め)
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