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PERFECT GAME -----------------------------------------------
もうすぐタイムリミット。 あと20〜30分って所だ。そうしたらきっと、それで終わり。 まあ何も無かったみたいに、スーツでも着込んで、知らん顔で歩いてりゃ良い。その後は至って普通に、顔を合わせたら合わせたでいつもみたいに軽い挨拶でも交わしたら良い。 とにかくこれは、一時凌ぎの茶番劇。 うざったい言葉は一切ナシの、それはもう簡潔な出来事。 まあそれはそれで「楽しかった」とか何とか言って済ませりゃ良いわけだ。 もうすぐタイムリミット。 ―――――ほら、さよなら。 「レノ、これは…何かの間違いだった」 「はいはい、分かってますって」 俺は両手を広げてそう答える。誰だって分かってんだぞ、っと。そんな事、とっくに。 目の前で眉を顰めたのは、坊ちゃん。我らがルーファウス副社長。 いつもならビシッとキメて偉そうな口叩く癖に、一度こうなってみたらみたで、これはまた随分と違う。今までそんな顔どこに隠してたんだって位、可愛い声なんか上げちゃって。 まあそんな事を口に出そうものなら俺の将来なくなるようなもんだから、それは敢えて言いはしないけど。 とはいえ、間違いって言葉ははっきり言って、それこそ「間違い」だろう。自覚があって間違いを起こしてんのは俺じゃなくてそっちだってのに。 俺の前でしっかり服を着込んだルーファウス副社長は、今さっきまで俺と何をしてたかなんて忘れたみたいにすっと立ち上がった。 「お前も早く服を着ろ」 「はいはい」 仕方なく俺も服を着込む。どうせこの後なんていつも通り暇だってのに、何をそんなに急ぐ必要があるんだか。 とはいえそうして早々と事を済ませる理由は分かってる。 理由は歴然。 それは勿論、罪悪感でいっぱいってところなんだぞ、っと。そうそう、この坊ちゃん、ちゃんと相手がいる。それはもう、これまた我らがタークス主任、ツォンさん。 それを知ってて付き合う俺も俺だけど、罪悪感引っ張って俺と寝るのもどうかなと思うけど。 何でこうなったかっていうと、これまたはっきりしてる。 この坊ちゃんは何も言わないけど俺には分かるんだぞ、っと。それはもう相手があの主任なんだから分かるも分かるってな話。 要は寂しい。それだけの話。 真面目なツォンさんは坊ちゃんと関係がありながらも仕事第一。それに比べて俺はといえば仕事は仕事、他は他。これほどキッパリしてるのも無いだろうな。 で、坊ちゃんはこの俺を誘ってきたという訳。 本当、分かりやすい。寂しいなら寂しいでツォンさんにそう言ってみれば良いのにと思うけど、それが言えないのがこれまた大問題。 まあ俺はどうでも良い。 これは単なるゲーム。タイムリミット付の茶番劇。ちょっと身体を使うだけ、要は簡単なお遊びってところなんだぞ、っと。 でも、たまには刺激も必要。 だから俺が少し苛めてやるわけだ。例えば、こんなふうに。 「ツォンさん、こんなこと知ったらどんな顔するんだろうな」 その言葉を聞くや否や、坊ちゃん、急に目なんか見開いてコッチを見てくる。それから俺の…胸倉なんか掴んでくる。そこまで好きなら「間違い」なんかしなきゃ良いのに。 「…言うな、絶対」 本当、可愛いね。ツォンさんもどうやってココまで落としたんだか不思議なんだぞ、っと。でもこれはゲーム。ゲームがそんなに早く終わったらつまらないって話。 だから俺はもっと苛める訳だ。 「じゃ、こうしないか。俺はこの事を絶対ツォンさんに言わない。その代わり、坊ちゃんは俺からの電話を絶対取る。簡単な取引なんだぞ、っと」 「…電話?」 「そう、それだけ」 何だか納得いかないような顔しながらも、OKサイン。これで取引成立。まあ簡単なビジネスだと思えば納得も行くんだぞ、っと。 とはいっても、此処からがゲームの楽しいトコロ。多分、この坊ちゃんは知らないだろうけど。 大丈夫、俺が存分に楽しませてあげるから。
ゲームその@。 例えばこれは俺しか分らないこと。ツォンさんはあの坊ちゃんのことをどこまで本気なのかって話。でも俺の予想、仕事第一な割に結構気にしてる。勿論、これは俺だけが気づいてる事で、坊ちゃんすら知らないんだぞ、っと。 でも俺はそれは言わない。 それ言ったらゲームはTHE END。それじゃつまらない。 ツォンさんはあの坊ちゃんと会う夜は必ず、仕事帰りになるとソワソワしだす。小刻みに腕時計見る癖、それがその証拠。 大体、二人の居所はつかめてる。これでも俺、タークスだし。 で、それはどこかといえば超が付くほど高級なレストランORバー。で、その後は言わずと知れたお楽しみの時間。ま、それ以上は詮索しないけど、これがパターンなのは読めてる。 そこでゲーム開始。 ツォンさんが坊ちゃんと顔を合わせてその店なんかに行っただろうと思われる時間。それを見計らって、坊ちゃんにコール。 これは約束。破ったらOUT。 そう、俺はツォンさんにバラすって手筈。勿論、俺はそういう事もちゃんと頭に入れてる。もしこのコールを無視しようものなら、即ツォンさんにコール。 で、言う言葉は一つ。 何時何分、どこどこに来て欲しい、極秘で。 これだけでツォンさんはタークスの仕事だって思う。何だと思ってきてみれば、俺と愛しの坊ちゃんがヤってるって事。 ま、これは最悪のパターン。実はこのパターン、俺の命も危ないんだぞ、っと。 とにかくまずは運試し。坊ちゃんにコール開始。 『…何だ』 おっとなかなか早い対応。まずまず好調。偉いね、そこまでツォンさんが好きなわけだ。少し妬けるな。まあ良い、こうじゃなきゃゲームはつまらない。 で、俺の言葉と言えば。 「ツォンさんと一緒かな?食事中?それともお楽しみ中?」 勿論まだ食事中だって知ってる。此処は忍耐力が試されるトコ。 『…食事中だ』 ふーん、マトモな回答。まだまだ大丈夫って感じなんだぞ、っと。これじゃ俺がつまらない。だから第二発言。 「へえ。で、この後は?」 『……』 「俺と寝てるくせに、やっぱり愛しのツォンさんとは楽しみ?」 『…っ、うるさいっ』 「躍起になるんだ?ってことは図星なんだぞ、っと。今度教えて欲しいな、ツォンさんのやり方。同じふうに攻めてやるし」 『うるさいっ!もう切るからな!』 とうとうギブアップ?駄目駄目、これしきでゲームオーバーなんか許さないんだぞ、っと。 そうそう、俺には武器がある。坊ちゃんが一番怖い武器。 「ふーん。じゃ、言っても良い?」 『…!』 「坊ちゃんが俺の下でどんな声出してるとか…ツォンさんに言っても良い?」 『…や、めろ』 やっぱそうなるわけだ。愛されてるね、ツォンさん。 じゃ、此処らで種でも植え付けて。 勿論、ゲームAの種。 「じゃさ、約束して欲しいんだぞ、っと」 『…何をだ』 「どうせこの後、ツォンさんとヤル訳だ。俺もまあ後学の為に知りたいんだぞ、っと」 『だから!何が言いたいんだ!』 おーおー、相当怒ってる。ま、このくらいが丁度良い。 電話の向こうでツォンさんの声が聞こえる。どうしました、誰ですか、そんな感じの言葉。ふーん、ツォンさん、こんな優しそうに話しかけるわけか。 これはまた新発見。 で、俺の提案はごくごく悪趣味。でもこれまた極上のスパイス。 「その時さ、電話、通話にしといてほしいんだぞ、っと」 『何…?』 「…聞かせてよ、ツォンさんにどうやって甘えてんのか、さ」 『な…に、言ってるんだ…』 信じられないってな声。まあ普通はその反応でOK。ごく普通。でもこれはゲーム。&取引成立のビジネス。 だから坊ちゃん、坊ちゃんに拒否権は一切ナシ。 「言われたくないなら…なあ?坊ちゃん、そこまで頭回らないわけ無いんだぞ、っと」 まあ自分で聞いてても呆れるくらい極悪。でもそれでこそ面白い。 さてさて坊ちゃんはどんな声でツォンさんに甘えるのか。 これはもう神羅一の大スクープ。
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