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俺の嫌いな高尚クラシック響く美しいお部屋。 それを頭に思い浮かべて、俺は頭をグルグル回した。さて今度の課題は何でしょう、どう料理致しましょう―――――――コレが俺のテーマ。 でも残念なことに俺はハニーのプライベートルームには呼ばれる予定が無かった。それも当然、ハニーはもう俺を警戒してて部屋に呼ばないんだぞ、っと。 いくら俺が俺流貫くったって、呼ばれもしないのにワザワザ出向いて改装工事って訳にはいかない。何せハニーときたら発情したニワトリみたいにオカンムリになるんだから。 だから俺は考えた。 どうにかしてどうにかして俺色を出す場所。 まさか神羅の副社長室大改造工事はヤバい。さすがに俺もクビはねだけは勘弁、血まみれゴメン。 って訳で、俺は考える。頭捻って回転させて考える。 グルグルグル…… 俺色グルグルグル…… ハニーを染めるには? それはモチロン、俺の超最高級夜的技巧以外って意味でだ。 そうするには鉄壁崩して奥の奥まで骨の随まで蝕まなきゃリタイア直行。でも俺はあくまでNEVER GIVE UPなんだぞ、っと。 で、俺が考えた俺色計画はといえば単純明快そのものだった。 ハニーの家には今頃お偉いさんが天下り。でもって変な置物がちゃんと元通り。BGMなんかは眠気誘う高尚クラシック。 俺の影はどこへやら、壁の二人も綺麗さっぱりサヨウナラに決まってる。でもって出社したら超スタイリッシュな真四角空間が待ち構えてるってな。 さて問題。 どこに俺の影がある?――――――――――――答えは、NOTHING。 ハニーが俺色に染まらないのは俺との愛の時間が足りないって事、これマジバナシ。 だから俺は単純な方法で二人の愛の時間をせっせと作ってやるんだ。でも忘れちゃいけないのは、俺の評価。 平均点も越せない俺の評価はそれでグンと飛び跳ねる。これは絶対確実の間違いなし。何でってそれは、副社長も納得の正当ルートで俺はそいつをやってのけるからさ。 な、見せてやるって。俺の意地、もとい愛ってやつを、さ。
正当ルートの俺色計画はその次の日から即開始。 まず俺がしなきゃいけないのは早起きって最悪の事。いつもギリギリ一杯のこの俺が目覚ましを二時間も早くセット。でもっていつもより二時間も早い世界で俺はパッチリお目覚め。 でもソコで終わりじゃない。 俺は即着替え、即出社。今まで神羅にいてこんなこと無かったなって思いながら俺の頭ン中ハニーが旋回。ハニーはといえばいっつも朝早くから超スタイリッシュな部屋でお仕事三昧。俺には信じられない世界。それでも俺はそこに入ろうなんて思ってるわけだから、コレはもう世紀の驚き。ちょっとは誉めて欲しいけど? で――――――――神羅到着。 俺が向かうのは、俺の愛用デスクのある部屋なんかじゃなくって、そうそう、勿論ハニーの所。 超スタイリッシュな部屋まで出向いて、俺はチャッとそのドアを開けたりする。これはハッキリ言って副社長にとっちゃハテナマーク点滅の出来事だ。 俺が居るってことプラス、その時間に誰かが来るってことがな。だってまだ一般の出社時間なんかじゃないんだぞ、っと。 ってな訳で俺は驚き100%のハニーの顔を見て必死に笑いを堪えてサイコースマイルを送ってやるって訳。で、正当ルート。 「おはよ〜」 ニッと笑う俺の前で、ハニー、呆然としてる。 駄目駄目、そんな顔しちゃ。だってコレは愛の時間、笑顔以外はNG、受け付けないって。 「レノ…お前どうしたんだ?頭おかしくなったんじゃないか、こんな早く出社なんて」 「失礼だな。俺だってたまには朝早く起きたりするんだぞ、っと」 なんて真っ赤に熟れた嘘。これはハニーの為なんだって気づいて欲しいね。 でも俺は、それは言わない。これはあくまでも正当ルートでいかなきゃ、な。 「折角だしさ、何か一緒に飲もうぜ」 「は?」 「“お茶”ってヤツ」 俺はニッと笑うと、早々にある場所まで歩いていった。それは副社長室ん中にある“憩いの場”。ちょっとしたお茶セットなんかがちゃっかり用意されてるんだからハニーもやるねってなもん。俺はそのコトちゃんとチェック。いつか使ってみたいと思ってたんだよななんて呟いて、俺は手際良く朝の一杯を作ってやる。何て泣ける光景、まさかこの俺が茶なんて注いでるなんて、天の神様だって予定外の出来事。でも残念、これは俺の意地もとい“愛”。って訳で俺は出来立てホヤホヤのそいつをハニーに出してやるのさ。 こじゃれてトレーなんか使っちゃってさ。 「おまちど〜」 俺は副社長殿の前にポンとソイツを置いてやった。で、ハニーの評価は、っていうと。 「…信じられない」 OK、それでこそ100%予定内。 「俺だってこのくらいやるっての。さ、飲んでくれ。朝はスッキリお目覚め用のコーヒーだ」 「あ、ああ……。――――――――――何か企んでないか?」 「はあ?そんなこと無いぞ、っと」 ハッキリ言ってスッキリお目覚めしたいのは俺の方なんだけどな。まあ良い、これも愛、それも愛。 ごっくん。 ハニーが俺のお手製コーヒーを咽喉に流し込んでいる時、俺は置物みたいにハニー鑑賞。 さて、お味の感想は? 「…まあまあだ」 そう言いつつも顔はまんざらじゃない。 要は合格60点以上ってこと。 俺は思わずニッと笑うと、 「そ?」 とワザと疑問系。でも心中“そうじゃなきゃ困る”が本物。 俺はさっそく俺用朝コーヒーも注いでくると、副社長殿の機嫌を損ねないような位置をゲットして、一緒んなって朝コーヒーをすする。 ズズズ…なんて音を出すのはタブー。ここは上品に丁寧キレイに。 俺にあるまじき品の良さを見せつけながら、俺はやっぱりハニー鑑賞。 ハニーはといえば。 「――――――――お前、本当に大丈夫か?」 心配顔で首を傾げてる。 ――――――オイオイ!そりゃ苦笑モノだっての。 「何だよ、俺はこういう人間でもあるの!」 「そうかな?」 「そうそう」 ふーん、なんて納得してる。でもせいぜい20%ってトコ。だけど…確実100%にしてやるし? それが俺の腕の見せどころってヤツ。 快適な朝はそうして過ぎてく。
俺の努力というのは並大抵じゃない。 ナメてもらっちゃ困るぜ? 何せ俺の二時間早起きは、その日をスタートラインにして、一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月…と続いてく訳さ。コレ何でかって、答えは簡単。 一言で言って、“継続は力なり”。 つまり俺は毎朝ハニーんトコ行って「おはよう」言って、コーヒー飲む。でも紳士な俺は、皆の出勤時間にはちゃんと帰ってくわけさ。 だからハニーに迷惑は一切無し。仕事の邪魔はしないし、一緒にコーヒー飲んでるだけだし、うまい具合に愛の時間右肩上がり。で、ハニーの日常に俺はすっぽり潜入成功。 高尚クラシックと再選偉人の部屋っていう日常や、超スタイリッシュな真四角部屋っていう日常には潜入できないらしいから、だから俺はそういう“日常”を選んだんだぞ、っと。 俺好みの部屋改造はお気に召して貰えなかったようだし。 ―――――――――――で、コレならOK?そうだろ? 俺の努力はハニーの給料並。 でもって結果は、それ÷2だけど好評。 ハニーはいつの間にか、朝俺が登場するのを待ってるくらいになったもんさ。 さすがは正当ルート、これはハニーも顔負けお手上げ。 って訳で俺はハニーの期待に応えてやるのさ。 「おはよう」と言って、コーヒーを淹れて。 そんな俺の努力が報われる日はそう遠くなかったって話。 だってそうだろ、ハニー。 ある朝、コーヒーポットの隣にちょこんと新しいのが置いてあったり、新しいマグカップが“2つ”置いてあったり…でもって、俺がちょっと遅れた日なんかは、ちょっと不機嫌になったり――――――――そういうのって、俺の幸せってヤツでしょ? いつの間にか俺は“日常”になったんだぞ、っと。 壁掛け偉人と何ら変わんない日常、だけど俺は最高トップをぶっちぎり。 さて――――――俺の評価は? 「今のお前は100点満点だな」 そう言って笑ったハニーに俺は大満足。 だけどハニー、それは違うのさ。 俺が100点になったのもまあ悪くないけど、ホントは、ハニーが俺に100点を付けられる位に変わったって事なんだ。 つまりはホラ、俺色計画成功。 俺は俺色に染まったハニーがお好み。
さて、どうだ。 今はこの俺が超一流。 俺色のハニーも超一流。 俺の前では、俺色ハニーが笑ってる。 それは俺の、超一流の、
「シアワセ」。
END
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