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「お前はいつもチャラチャラして…」 そう言って俺の前で溜息を付いている上司。とはいっても可愛らしい童顔君だ。 ちょっと鋭い目つきがまた良い。口が悪いのは昔からの癖だろう。いや、口が悪いというよりか、頭ごなしに怒るって方が正しい。とにかくこの上司ルーファウスを手に入れるには苦労した。何と言っても御曹司で、性格もこんな具合、プライドも高い。の割に妙な所は細かい。 言ってみれば俺とは正反対ってとこだろう。 絶対おちないだろうと思ったから、だから欲しいと思った。最初はただそれだけで、好きとかそういう問題でもなかったはずだ。 それがどういう訳か俺の方が拘ってる。 例えばそう、憎まれ口を叩く、その口。薄めの唇は奪うには丁度良い。俺はもう何度かそいつを奪ったけど、まだ飽き足らない。 「本気になったわけじゃないからな」 そう言うその口を、いっそ塞いでしまおうとさえ思う。針でどのくらい縫えば、その口は憎まれ口を叩かなくなるんだ? 「ちょっとはアイツを見習って…」 そんな言葉も言わせないようにする為に、やっぱりその口は塞ぐべき。 何だってその口から俺以外の人間の名前が出てくるんだ。それは許せないってもんだ。 「ああ、アレ良いな」 何かを見るその目を隠すにはどうしたら良い?綺麗だとか良いだとかの褒め言葉は、そんな所に使うべきじゃない。欲しいなんて言葉は最低だ。 そういう言葉は俺に向かって言うべきだろう?」 だからその目を潰さなきゃならない。誰も見ないように、焼きついた姿がずっと俺である為に。 でも残念ながら、人間って奴は動いたりする。行動したりする。これは意外と厄介だ。 その足で向かうとこは? 俺のトコ以外はやっぱり許せない。だからこれも無理。早い内に動かないようにしなくちゃいけない。 動けば、人生は動く。道ができる。これは最上級の邪魔者だ。 何せ人生って奴には選択肢って奴がある。かくいう俺も何らかの選択肢の中から“今”を選んだわけだけど、彼が“俺=今”以外の選択肢を選ぶのはどうにも許せない話だ。 だからこれも無理、駄目だ。 俺以外を選べないように、今のうちに叩き潰しておこうか? “今”以外に幸せなんて有り得ないって教えるためにも必要。そうだろう? ―――――――――そんなことを考えながら俺はポン、とナイトスティックで肩を叩いたりする。はっきり言えば、そういう事全てを実行するのは、かなり簡単なことだ。 彼が上司だろうと、俺は俺の力を持ってる。そう、実行するのは簡単。 けど、どうだ? 実行するタイミングって奴はどうなんだ。 会って、少しでも笑いかけられたりしたら、それだけで決心ってやつは鈍る。0%にDOWNだ。が、それがいざ違う方向に向くと、急上昇。一気に100%UP。不思議で仕方無いこの動きを説明しろったって、そうはいかないだろう。 一筋縄ではいかないっていうのは、この世の理だ。 だから俺は、俺を試すために時々聞いてみたりする。 「俺がどっか行ったらどうするのかな、っと」 そう聞くと、必ずこう返ってくる。 「知るか」 そんなことを言ってふいっと顔を背けたりする。嘘付くなよ、って言いたくなる。ちょっとくらい悲しくなんなきゃ100%UPだっていうのに。 でも不思議とそういう時の緩和法は出来上がってるってもんだ。 「じゃあ逆に俺が違う奴を…見始めたらどうする?」 チラッとこっちを見てそう言うのに、俺が返す言葉は一つだけ。至って単純、だけど重い言葉。 「殺すぞ、っと」 何バカなこと言ってんだ、とか言いながらも笑ったりする顔を見て、俺は0%までDOWN。 世の中、上手くできてる。 ほら、な。 やっぱり一筋縄ではいかないって訳だ。
END
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