「悪い奴ではない。それは俺が保証しよう。それにこれだけ一途ならば尽くすことは間違いない、大体この男は損な性分だからその点は大丈夫だ」
 どの点が大丈夫なのかさっぱり分からないような説明をしたセフィロスは、その次に高嶺の花対策といわんばかりにこんなことを言い始めた。
「まあ一介の兵士には違いないが、神羅といえば今や巨大組織だ。その巨大組織のソルジャー1stというのはなかなか成れるものじゃない。難関の難関といっても過言ではないだろう。そこを突破している事は評価してもらいたい。要するに…そう、エリートだな。それから…」
「お…おいおい。そういう話はもう良いから…」
 このままではいつまでも終わらないと思ったのか、ザックスがそう止めに入る。しかしそれで止まるような人間であれば今迄だってそれで止まっていたはずなのだ。
 故に、セフィロスの話が止まることは無い。
「一部軽い人間に見られている所もあるようだが、そんなことは決してない。まあ前向きだし人望も厚いようだからな。その点からして性格には問題はないだろう。信頼もできるし仲間思いだ。それに正義漢だしな。それから…ああ、そうか。これは個人的な問題になるが、俺が一言言っておくならそこらの男よりは精悍だと思うぞ」
 まあ好みはあるだろうがな、と続けたセフィロスは、どうやら顔の好みのことについて話しているらしかった。精悍というのは顔つきのことを言っていたのである。
 いつもあまり喋らないくせによくもこれだけ一気に話したもんだと、呆れたような顔をしたザックスが小声でセフィロスに毒づく。それは尤もな指摘だったが、それでもセフィロスはそれだけこの言葉に賭けていたのだ。
 この前の酒の席でもそうだったが、自身の考えについてはセフィロスはしっかりと言葉を述べる。普段はそれほど話さないが、それはあくまでどうでも良い話だから話さないのだ。これがもし真面目な話でセフィロス自身にも考えがあるものの場合は、やはり真面目に考える部分があるのだから話さないわけにはいかない。
 それは今日も同じことで、セフィロスに思うところがあるからこそこれだけ話すのである。自分が快適に過ごすためにはザックスの恋愛相談をなくさねばならないのだから、これは立派な目的だろう。これを黙って見過ごすことはできないのだ。
 それにしても、その場は何だか不思議だった。
 自分の目的のためとはいえ、セフィロスは次々にザックスの良いところを口にしているのだからこれは不思議以外の何者でもない。例え心の中でそう思っていたとしても、口に出して褒めるということはなかなかしないものである。もしそれが仕事の功績などであれば話は別だが、これはあくまでザックスの人格などの基本的な部分なのだ。まさかそんな部分を口に出して褒め称えるなどということは、日常的には考えられないことである。
 しかも、本人の前で。
「…という訳だから、この男がいかにプラス要素の多い男かは判って貰えただろう。そこを踏まえてもう一度聞くが、ザックスの事をどう思う?」
 セフィロスは珍しくグイと身を乗り出すと、リアに向かって答えを求めた。
 リアはまたもやビックリして身を少し引いたが、そのセフィロスの言葉に答えを返そうと必死に口を開けている。が、どうやらすぐには言葉が出てこないらしい。
 それはザックスへの気持ちがどうのというよりも、セフィロスの威圧感に圧倒されているというふうだった。
「あ…あの、私…その…」
「それほど迷うこともないだろう。簡単なことだ、この世に選択肢は常に二つしかない。YESかNO。それだけだ」
「え…そ、そうです…ね」
「どうだ?」
「あ、あの…」
「はい!ストーップ!!!」
 とその時、ザックスの声が響いた。
 見るに見かねてというふうに響いたその声は高らかに響き、一瞬にして緊張状態を解す。特にリアの方はその声にホッとしたようで、それが明らかに大きな目に反映されていた。
 一方、セフィロスの方は少々不機嫌である。セフィロスにとってみれば緊張などは解決への第一歩なのだから、何の問題にもならない。
 そんな相反する二人を前にして、ザックスはぱちん、と手を叩いた。
 そうして、困ったようでいながらもにっこりと笑う。
「そんな重苦しい雰囲気でその話題もないだろ。それに、そんなんじゃ強制になっちまうだろ、セフィロス」
「強制?一体どこが?」
 セフィロスにはどこがどう強制なのかさっぱり理解できなかった。
 何しろセフィロスはザックスの良いところを存分に示したのだし、それを「良い」と判断するのにそれほど時間がかかる方が理解できない。良いか悪いかなどというのは大体すぐに決まっているものなのだし、それを躊躇うということは判断とは別の問題である。いわば見繕いの判断をするために時間を稼いでいるに他ならない。
 がしかし、ザックスはきっぱりと「強制だよ」と言った。
「だってさ、リアにとって俺はまだ未知の人間なんだし…俺はさ、セフィロスがそう言ってくれたの凄く嬉しかったけど、リアにとってはそれを全部信じるわけにはいかないだろ?」
「それは俺が信用されていないという事か」
 鋭くそう言ったセフィロスに、ザックスは少し慌てたふうにして手をぶんぶんと振る。そうじゃない、そうじゃない、と。
「信用してても、やっぱり自分にとってどうかってのはまた別物だろ?ほら、俺の感覚とセフィロスの感覚が違うのと一緒でさ。あの時だってそうだっただろ」
 そう言われて、セフィロスは一瞬考えた。
 あの時、というのがいつの事を指しているのかさっぱり説明が無かったからである。
 しかしすぐに、以前の酒の席でのことだと理解すると、「まあそうだな」と納得した。あの時は確かにザックスと意見が分かれたから…というか元々ジャンルの違う男だと思っていたのだから当然なのだろうが、確かに感覚は別物なのである。ザックスが「こうだ」と言ったことに納得できなかったことが、こうして今日のこの場に続いているのだ。
 なるほどな。
 不本意ながらもそう納得したセフィロスは、やっとリアの前から身を引いた。そうしてザックスを見やると、次の言葉が出てくるのを待つ。
 今迄セフィロスが熱心にこなしていた事がある意味では無意味だとされてしまっては、セフィロスとてこれからの流れを見なければならない。それを見て、どう進めるかを考えねばならない。しかしそれまでの間ずっと沈黙でいるわけにも行かないのだから、誰かが何とかせねばならないわけである。
 そういう時、大体はザックスが助け舟を出してくれる。というよりもザックスはそれが性分なのだろう。だからその時もセフィロスは黙ってザックスを見やっていたのだが、散々待った後にザックスの口から出た言葉は思ったものとは全く異なっていた。
 ザックスのその言葉は、あまりにも突然で。
「あのさ…俺。それほど…良いヤツでもないかなと…思うんだ」
 響いた言葉に、セフィロスは「何?」と思わず言葉を漏らす。
 リアはやはりビックリしたような顔をしている。
 その中でザックスは、泡の無くなったビールのジョッキを手にしながらポツポツと言葉を続けていった。
「だって俺、結構すぐ意地になるし…言いたい事言ってるけどさ、ホントに言いたい事ってちゃんと言えなかったりするし…何ていうか本当に損な事ばっかしてるし」
 ―――――――何を言っているんだ、一体。
 ザックスの言葉の羅列を耳にしてセフィロスが思ったのはそんな事だった。
 まるで今迄のセフィロスの言葉を無碍にするかのようなその物言いは、当然セフィロスにとっては不都合である。ザックス自身の口からそんな事を言われてしまっては元も子もない。
 しかしそれ以上セフィロスが驚いたのは、ザックスの言葉の内容だった。
 まさかそんな言葉がザックスの口から出てくるとは思ってもみなかった。これがもし茶化しやギャグならば頷けるものの、今のザックスはそれなりに真面目な様子なのである。となればそれは本気でそう思っていて、本気でそれを伝えようとしているということだろう。しかも自分へのフォローなどは一切もない、駄目な自分の告白である。
 こんな時にそんな告白をしてくるなんて、どうかしている。
 好きな女の前でそれを言うなんて。
 セフィロスはそう思ったが、それでもそんなザックスに対して「何を言っているんだ」と罵ることは出来なかった。
「――――――好きな人に好きって言う事すら、俺は出来ないんだ」
 ふと、響き渡る言葉。
 それはこの場に尤も相応しくない言葉だったが、尤も心に伝わる言葉でもある。
 ザックスはその言葉を口にしながら、セフィロスを見やった。
 それを受けたセフィロスは、何となく気になってリアの方を見やる。
 リアは、ザックスを真っ直ぐに見つめていた。
 もどかしい空間、あまりにももどかしい。
 好きな相手はこの空間にいるのに、好きだと伝えることは容易ではない。好きと伝えられないことを伝えることはできるのに。
 何しろ…そう。
 損な性分で、相手は高嶺の花なのだから。
「…はは、ごめん。なんか妙な事言ったよな」
「そんな事はないだろう」
「そんな事はないですよ」
 ザックスが照れ隠しのようにそう言うと、同時に二つの声が響き返ってくる。それはセフィロスとリアのものだったが、二人は別に示し合わせたわけではなく、正に異口同音でそれを口にしたのだ。それが証拠にセフィロスもリアも驚いたような顔をして互いに顔を見合っている。
 しかしリアの方がすぐにザックスに向き直ると、潤んだ大きな瞳を一層大きくさせて、笑顔でこう言った。
「それを言える事が、すごい事だと思います。それに…いっぱい悩んだら、その方がきっと、素敵でいられると思うんです」
「そ、そうかな…?」
 ザックスは照れたような、困ったような顔をしている。
 それを目に映しながらセフィロスは、これはどうしたものかと考えていた。
 今リアはザックスに同調し、それはとても気持ちを近づけさせたのだろうと思う。要するにこれは、好きという言葉自体は口にしていないものの、それを間接的に伝えたことになるのである。そしてリアも、間接的に想いに応えた事になるのだ。
 これはつまり、良い結果なのではないだろうか。例え好きという言葉を発していなくとも気持ちは同調したのだし、このままいけば恋愛成就というのは目にみえているような気がする。そうなるとセフィロスはもう此処にいる意味もないわけで、これからも恋愛相談に悩まされることなく過ごせるのだ。
 実に良い結果。
 思い残すところはない――――――――――――…はずなのだが。
「……」
 何故だか釈然としない。
 セフィロスはそう感じながら二人を見つめている。
 二人はセフィロスがそこにいることにも構わず何かを話しており、それは本来とても良いことのはずだった。それにも関わらずこうして釈然としないのは妙である。
 きっと、二人だけで話していることは別段構わないのだろう。それは問題ではないはずである、だってそれを望んでいたのだから。
 しかしセフィロスの中にある引っかかりはそれとは別の部分で蠢いているようだった。
 それは、あのザックスの告白を聞いてから感じたことで……。
「…恋愛など」
 目に映る二人は、いつしか楽しそうに笑いあっていた。
 その笑顔は先ほどのザックスの告白が発端となって生み出されたものであることは確かである。つまりあのザックスの、嘘偽りない自身の告白が、功を奏したのだ。
 恋や愛などというのは、騙しあいや自慰行為でしかない。
 それはセフィロスにとって長らく変化のなかった持論であったが、何故か今目に映っている二人の笑顔には、その論は通じないような気がした。何しろそれは、ただ好きだと言って始まった笑顔ではなく、駄目な自分の告白をして始まったものなのである。それは、偽りの態度で臨んだわけではないから騙しあいではない。騙しあっていなければ自慰行為には成りえない。
 要するに…目の前にある風景は、見事にセフィロスの論を打ち破っていたのである。
 勿論、だからといってセフィロスの論が完全に崩れ去ったわけではないし、セフィロスは依然として騙しあいや自慰行為ということを信じている。何故ならば全てが全て二人のような始まり方はしないのだし、始まりがどうであれ幸せの持続の為には騙しあいをする事に成りかねないからである。幸せの持続の為に依存をすればその時点でセフィロスの論は勝ち誇る、セフィロスの中ではそういう図式になっているのだ。
 がしかし、例外はありうるのだと言うことは認めねばならない。
 それが、今セフィロスの目の前で繰り広げられている風景だった。
「…お前の勝ちか、ザックス」
 ふっと笑みを漏らし、グラスを手に取る。
 もう半分ほどになってしまったジャックダニエルを口に含んだセフィロスは、あの日ザックスが言っていた言葉を思い出す。
 "自慰行為とか騙し合いじゃないって事を、証明してやりたいから!"
 ―――――――――そうだな、お前なら…違うのかもしれない。
 そう思い独り頷くと、セフィロスはグラスの中身を最後まで飲み干した。それと同時にカランと鳴った氷がやけに寂しく聞こえる。
 きっと、気のせいだろうけれど。
 
 
 
 仲睦まじい二人を残して帰宅したセフィロスは、今日はやけに疲れたなと思いながらも寝支度を整えていた。
 寝支度といってもシャワーを浴び少し手入れをするくらいだから直ぐに終わってしまう。それではまだ寝るのに早いと思い徐に棚を覗くと、貰い物のワインが手付かずで置いてあるのに気づいてそれをあけようとした。が、少し考えてやはりジャックダニエルを飲むことにする。
 ソファに座り面白くもない雑誌を広げてはみたものの、セフィロスの脳にそれは入り込まなかった。雑誌のページは目に映っているのに、頭では別のことを考えている。それは勿論、先ほどの酒場でのことだった。
 きっとあの後は楽しく過ごしたのだろう。
 どうでも良いことなのにそんな事を考えたセフィロスは、少しだけ笑った。がしかし、直ぐにはっと我に返る。
 …どうかしている、他人のことで笑めるなんて。
「少しおかしくなったか…」
 セフィロスは雑誌を放り投げると、ウイスキーを手に窓際まで歩を進めた。そうしてふわりとカーテンを開けると、窓の外を見やる。
 ―――――と。
「な…っ」
 窓の外を見やった瞬間、セフィロスの目には信じられないものが映った。
 それは…。
「ザックス、お前はそんな所で何をしてるんだ?」
 そこにあったのは、紛れもなくザックスの姿である。
 あれほど仲睦まじく笑いあっていたザックスが何故此処にいるのかセフィロスには疑問でしかない。何しろあれからそんなに時間が経っていないのだから、今頃はまだ二人でいるはずなのだ。
 がしかし、そうはいってもザックスは実際にそこにいるのである。
 セフィロスの自宅の窓の向こうに、暗闇の中、しんなりした姿でポツンと突っ立っているのだ。隣にリアの姿は無い。
「よー!セフィロス!」
 セフィロスの姿に気づいたザックスは、ぱっと笑顔になると即座にそう叫んだ。もうすぐ日付が変わるというのにその声量はいかにも迷惑である。まあセフィロスの自宅の近辺は密集地というわけではないから、それがせめてもの救いとでも言おうか。
「こんな夜中にお前は…。そんな所にいないで入ったらどうだ」
 ともかくと思ってそう提案したセフィロスに、ザックスは静かに首を振る。
「良い。此処で話す」
「此処でってな…お前、俺に何か用なのか?」
「ああ」
 わざわざリアと離れてまで此処にやってきたのだろうから余程の用事なのだろう。まさかリアと付き合うことになりました、とかいう報告だったら本気で怒ろうかと思っていたセフィロスだったが、どうやらザックスの話はそういうものではなかった。
 ザックスは、先ほどの笑みを徐々に静かなものに変え、最後には困ったような顔になって、ようやく話とやらを切り出す。
「あのさ…今日、ごめんな!さっきも言ったけどさ、俺って何かこう…意地っ張りなトコがあって。だから引っ込みつかなくて、こんな事になって」
「?何を言ってるんだ、お前?」
 セフィロスにはザックスの口にしている言葉の意味が掴めなかった。
 そもそも、今日のことについてごめんと謝られる覚えはない。
「だから今日の事だって。今日、三人で集まっただろ。俺さ、ホントの事言えなくて、あの子に頭下げて頼み込んでさ…何だかこれって嘘付きと一緒だよな」
「ホントの事?嘘?…おい、話が見えんぞ」
 全く意味が分からない。
「だから…嘘だったんだよ、あんなの。あの子…リアにはお願いして来てもらっただけなんだ。俺の好きな人の振りをしてくれって」
「な…?」
 ―――――――――嘘?
 一体何故。
 セフィロスは俄か混乱し、その疑問を渦巻かせた。
 一体何故嘘などつく必要があるのだろうか。
 ザックスの言葉によると、あのリアという女性はつまりザックスの好きな人ではないということになる。ただ、その場限りの役割をこなしただけということだ。がしかし、そんな事をした理由が分からない。
 もしかしたら、本当に好きな女は連れてこれなかったということだろうか。
 とにもかくにも、先ほどまでの納得が全て嘘だったというのはどうにも微妙なものである。いうなればこれは、騙されていたということなのだから。
「ホントにごめん。でも俺、やっぱり勇気がなくて…好きな人に好きだって、そう言えなかったんだ。意地張って啖呵きったくせに、どうして良いかとか分からなくて…だから俺、ただずっと押しかけて喋るしかできなかったんだ」
「…どういう事だ?」
 何だかおかしい。
 話が見えるようで見えない。
 セフィロスは窓の向こう側にいるザックスを直視しながら説明を待った。ザックスもそんなセフィロスをじっと見やっており、それは何だか先ほどの告白の時を思い出させる。
 つまりそれは、ザックスが真面目に話をしようとしている証拠なのだ。
「…俺さ、好きな人が自分をどう思ってるのかって、すごく気になるんだ。でも、それすら俺は怖くて聞けなかった。でも…でも今日は…それが分かったんだ。だから俺、すごく嬉しかったんだ」
「……」
「なあ、もう…バレたよな?」
 ザックスは困ったふうな笑いを深めると、一旦口をギュッと結んだ。そして、暫くセフィロスを見つめる。その間に夜風が吹いて、ザックスのいつもよりしんなりした髪と、今日に限ってよれたふうな服が、さわさわと揺れた。
 その様子が、何だか妙にセフィロスの心を捉える。
 理由は良く分からない。
 ただ、今迄いつものように恋愛相談を持ちかけてきては色々と喋っていたザックスを思い出した。他の誰でもなく自分に相談をしかけてきたザックスを、そして笑いながら恋愛の色々を語ったザックスを、そして先ほどの告白をした時のザックスを、ふっと、思い出した。
 何故だろう、妙に心を捉える。
「…セフィロス、覚えてるか。俺の好きな人は、すごい高嶺の花なんだ。気後れするような、俺には絶対釣り合わない人。俺はな、その人の全部が好きなんだ。綺麗なのにちっとも分かってないトコも、偏屈で難しい性格も、恋愛嫌いなトコも、地位を鼻かけないトコも、それから…いっつも決まったウイスキー飲むトコも」
 ふと、手元を見やる。
 手にはいつものウイスキーが握られている。
 ―――――――――――ああ…最初から無理だったのか。
 いつも大嫌いな恋愛相談などを持ちかけてきては、傍にいた。
 それを払拭したいと思っていたものだが、しかしそれほどナンセンスな話もなかったのだろう。だってそれは常に、自分に向けられたものだったのだから。
 カラン、と、いつものウイスキーが氷を揺らす。
 その音と同時に、その声はセフィロスの耳に届いた。
「俺はセフィロスが好きなんだ」
 
 
 
 END
 

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