世界観
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「どうかね?」
環境部門リーヴの執務室には、現在数人の社員が詰めて今後の都市開発への案件をまとめている。
「厳しいですね。これを私ら数人でやれ、というのが、そもそもの間違いと思いますね」
眼鏡をかけた男が言う。彼は課長格でありながら、今度のように平社員が与えられる仕事をさせられ、酷く立腹しているようだ。
リーヴはことの他プライドの高いこの社員を、常々給料泥棒と思っていたが、猫の手も借りたいこの状態で、いないよりはいた方がましという理由から、苦笑に留めた。
他の、件の平社員は文句もなく案件をまとめていく。
この書類が副社長の下に届けられ、そこから社長へと持ち上がる。
ふるいのかけられるその書類の中に、リーヴは黙々と働く平社員の優秀な案をもぐりこませ、出来るなら、彼らにチャンスを与えたいと思っていた。
残念ながら、その中に、課長格の彼のものはない。
「もう少しだから、頑張ってくれ」
「お暇なら、一緒にいかがですか?」
「・・・すまないが・・」
リーヴとて、暇なわけではない。これから出来上がった案件の書類に目を通し、ミスを極力訂正しなくてはならない。
数があっても使えないものならない方がましだ。
副社長は、若いがその辺は細かくチェックし、しかもその聡明さから使えないと判断したものは遠慮なく切り捨てていくだけの度量がある。
彼に納得できないものは、社長に引き渡されない。
多くの案件が、一つでも通るように、リーヴは出来るだけ目を通さなくてはならない。
「ここは自分たちが何とかしますから、リーヴさんはどうぞ、確認作業の方に回って下さい。
一人の平社員が言い、リーヴはその社員に頷くと、部屋を出た。
あの社員は、最近入社したばかりの平だ。だが、その能力は副社長にひけをとらない程。先見の明もあり、度量もある。文句ばかりで手の動かない上司より、余程使える社員と言えた。
神羅特有の、金になる奴が出世するの具現で出世することになることはないだろうが、将来的に彼はきっと出世するだろうと思われた。
「楽しみだな」
今直ぐのことではないが、きっと彼は出世する。いや、出世させて見せる。
それが神羅の未来を明るくし、同時に環境を豊かに導くことになる。
そう信じて。
書類が出来上がった端からコンピューターで送られてくる。
見られるように出来上がったものから、全く書類として形となってないものまで。
余程単調作業が嫌いなのか、それともそれすら出来ないのか、誰が作ったか良く解る書類だけ分けて、リーヴはチェックを進めていく。
数人で勧める書類の作成を、たった一人でチェックするのはそれは難解な作業だ。
リーヴは途中で席を立ち、コーヒーを入れようとサーバに向かおうとして。
「う・・・」
視界がぶれて、床に倒れこむ。
途中でサーバに手が触れて、激しい音を立ててガラスが割れてはじける。
咄嗟に手で顔を庇ったリーヴは、体調が不調を訴えるがままにその場に倒れ続け、そして。
「大丈夫ですか?」
必死な声で揺さぶりをかけてくる若い声に気づいた。
「ああ・・・大丈夫だ」
「真っ青です。少し休んだ方が良いですね」
「いや・・・」
もう一度大丈夫と言おうとしたところで、抱き上げられる。
「お、おい、君・・・」
「無理しすぎです。いくら期日が迫ってるからって、一人で無理をすることはないです。俺も、後で手伝いますから」
「しかし、これは私の仕事だよ」
苦笑したリーヴに、若い社員は笑う。
「大丈夫です。俺、きっと役に立ちますから」
微笑む青年の顔に、リーヴは苦笑する。
確かに、彼は将来を約束してやりたい程に仕事が出来る。
「だが、それでは私の立つ瀬がないな」
「そんなの、俺が手伝ったって、誰にも言わなければ良いんです」
言い切った青年の言葉に、リーヴは眉を寄せる。
「そんな、手柄を横取りするようなマネを、私にしろというのか?」
青年はリーヴをソファに下ろすと、まだも言葉を放とうとするリーヴの唇を、唇で塞いだ。
「・・・・」
呆気にとられるリーヴに、青年は頬を赤く染めて微笑んで。
「俺は良いんです。リーヴさんの、その視界に入れてもらえるだけで、本当に・・・」
「君は・・・」
ぼんやりと呟くリーヴに、青年は開き直ったようににっこりすると。
「俺、入社した時から、リーヴさんのこと・・・」
END
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