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CAUTION
物語の特性上、社会的に不適切な表現が含まれている可能性があります。 それでも問題ないという方、また柔軟な思考をお持ちの方はこのままお進みくださいませ。
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ムービーショウ。 ------------------------------------------
野郎二人で映画なんてシケてる。 イマドキ流行らない、興行収入も大したことないB級ヒューマンドラマ。 大々的に賞なんか取ってるようなさ、技術がスゴイとかさ、莫大な金かけてますみたいなさ、有名監督作品ですみたいなさ、そーゆーヤツじゃないと見る価値ないだろ。 だって大概そーゆーのが好かれるんだし。 それなのに俺とルードはシケてるしみったれたヒューマンドラマなんか見てる。 レイトショーで少し安め。でもって、映画館には寝てるオッサンが2〜3人。 主人公もヒロインも、聞いたことないヤツが演じてる。 終わり方もワケわかんない。 エンドクレジットを見ながら俺は一人で大欠伸。 さ、早いトコ家にでも帰って酒飲まなきゃ。
麗らかな気候、とんでもないサボり日和。 俺は任された仕事をソコソコこなしてから、残りの時間を有効活用してた。 滅多に客の入らない喫茶店に入って、すかさずノンアルコールビールをオーダー。勿論これは俺の良心入り。何しろノンアルコールだし。 今にも潰れそうなその喫茶店は、窓もハメ殺しだし日当たりも悪いし、条件としちゃ最強最悪だった。そりゃ誰も来ないだろってくらいにテーブルもチェアーもイカれてる。 俺は煤けた隅っこの席に腰を下ろして、夕暮れ時から颯爽とノンアルコールを胃に流し込んでた。これだけじゃ寂しいって泣いてる胃のために、仕方なくチョリソーもオーダー済み。抜かりは無いってな。 でも、アレだ。 こーいう時に限ってカクレンボは速攻終結したりするんだ。いつもだったらヒイヒイ言いながらアチコチ走ってる鬼が今日に限ってグッジョブ。 世の中上手く出来てる。なあ? 「――――見つけたぞ、レノ」 「あれま。今日は速攻来たな、ハゲ」 デカイ図体に黒スーツ&黒サングラス。極めつけは、ハゲ。 どっからどう見てもヤバいだろ。 そう思うけど、これでもコイツは俺の相棒。 「三日…。三日だ」 「は?何が??」 「お前がサボった日数…。連続三日だぞ。少しは反省しろ」 こりゃ驚いた。 俺は思わず口からチョリソーを噴出すかと思った。 そんなさ、俺のサボった日数とかイチイチ覚えてなくても良いのにな。さすがは俺の相棒だけあって、俺の管理には抜け目がない。そこは表彰すべきかな? でも残念だったな、相棒ルード君。 俺はそんな言葉にビビるタマじゃない。ま、とっくに分かってるだろうけど? それを分かっててわざわざやるんだから、さすがの俺も尊敬の眼差し。是非とも弟子入りしたいね。その起き上がりコブシ的に無駄な労力の活用法ってやつを、さ。 「あーすっごく残念。悪いけど俺、今日は既に営業終了。要するに今の俺はアフター5を満喫してるだけって感じ?」 「何がアフター5だ。退勤スキャンもしてないくせに」 「そりゃ当然。だって退勤スキャンするには神羅に行かないとだろ。残念ながら営業場所からは神羅よりコッチのが近い。イコール、俺は効率良いやり方してるだけ」 「…相変わらずの減らず口だな」 「何とでも?」 俺は笑ってノンアルコールを流し込む。ついでにチョリソーも流し込むと、咽喉の辺りがやたらピリピリした。どうやら直撃したらしい。 ルードは俺の隣を陣取ると、散々俺のコトをぐだぐだ言った割りに自分もノンアルコールビールをオーダーした。思わぬところで共犯者GET。さすがは相棒、道を外すトキも一緒ってワケだ。 「お前、この前から様子が変だな」 「あー?」 「この前だ。映画を見た…」 ああ、あの日のコト。 野郎二人でシケた映画なんか見ちゃった、あの日のコトか。 そういや確かにあれは四日前だった。ということは、俺はあの映画を見た翌日から連続三日サボってるってわけだ。 「別に。あんなクソつまんない映画、どーでも良かったし」 俺がそう言ってやると、ルードはノンアルコールをちびちびやりながらサングラスの奥を光らせた。 「…お前が見たいと言ったんじゃないか」 「そーだっけ??」 「そうだ。お前のチョイスだった」 またまた…ホントに俺の管理に抜け目ないね、ルード君。 そんなこたあどーでも良いだろ? 俺はわざとデッカイ溜息をついてやった。そんでもって最後のチョリソーにがぶりつく。 「もうどうでも良いじゃん?たまたま見た映画がクソB級だったってだけで意味なんかないし。そもそもエンターテインメントなんて所詮娯楽だろー??」 「…そうかな。俺にはそう思えなかった」 「へえ、どこが?」 あくまでくらい付いてくるルードに、俺は内心イライラしてきた。相棒のことは好きだけど、こーいうトコでしつこいのは好きじゃない。 おかげで俺は、ノンアルコールじゃ足りなくなって、思い切りアルコールに転換するハメになった。それもこれもハゲのせいだ。イライラさせんな。 そう思ってるのに、ハゲも負けじとアルコール転換してきやがった。 「…俺には、あの映画は自分の昔みたいな気がした。だから、お前にもそうだったんだろうと思ってた」 「何ソレ??悪いけど、お前と一緒にしないでくれる??」 「…同じようなもんじゃないか。お前も、俺も」 「いーや、違うな」 俺はキッパリそう言いきると、ルードに向かってピシャリと言ってやった。 俺とお前が一緒だって? んなわけねーだろ。 そりゃな、俺はお前のコト相棒だって思ってる。大切な相棒だってさ。だけどそりゃ今の話だ。俺の過去は、いくらお前だって分かるはずないんだ。俺だってお前の過去なんて分からない。そーいうもんだろ? 分かったフリなんてすんなよ。 「ただ悪ぶってんのと、ギリギリんとこまでイっちまったのとじゃワケが違う。俺はお前とは違うんだよ」 「…より悪い方がカッコイイとでも思ってるのか?経験豊富だとでも?」 そう言って、ハゲがクイっと口端を上げる。 それを見たら、俺のイライラは急遽怒りにレベルアップした。 キレるのって、一瞬なんだよな。 後先とか関係ない。 その瞬間が全て。 ほらさ、昔の俺みたいに。 「――――二度とそのツラ見せんな、ハゲ」
相棒だとか呼ばれるようになったのはいつの頃だっけ? タークスに入ってからすぐのことだったと思う。 同じ匂いってあるだろう? 何となくコイツは同じジャンルのヤツだなとか、何となくコイツは近い匂いがするなとか、そー言うヤツだ。俺はタークスに入ってルードを見た瞬間、すぐにその匂いってヤツを感じた。あー、コイツは同じ穴のむじなだなって。 ルードは、俺と似たようなヤツだった。 タークスに入るまではかなりのやんちゃ振りで、ここいらで一つ更生でもしてみましょーみたいな、そんな雰囲気。きっとルードも俺に対してそーいうの感じてたんだと思う。 すぐに意気投合した。 酒飲むのが好きなトコも、過去悪いコトしてきたトコも、俺と同じだった。 だけどさすがに全部が同じってわけにはいかない。 ルードの場合は悪いコトしてても硬派だった。俺はその逆。硬派の反対だから軟派?何だかそれも違う気がするけど。 例えばさ、悪いコトにも正義があるとして。 そう考えたら、ルードの場合は正義があったわけだ。でも俺には悪の正義すらなかった。いってみりゃ無法地帯、ノンルール。一本筋が通ってるヤツと筋が無いヤツとじゃ大違いだ。 俺はそーいうのを感じながら、それでもルードを相棒と思ってた。 他のタークスメンツから考えればルードは一番俺に近かったしやりやすかったから。何かポロッとボロが出ても、ルードだったら笑ってスルーしてくれると思ったから。これがツォンさんだったら説教まっしぐらだろうし。 だけどさ、それにも限界ってあるだろ? 相棒でも限界ってのがさ、あんだよ。 だってルードは、今の俺の相棒であって、過去の俺の相棒じゃないから。
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