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SECRET NIGHT ------------------------------------------------
ある宿屋の一室。 戦いの最中のある一コマの出来事。 いつもは大部屋で、それでも男女別に二部屋取られていたというのに、その日は何故かロックとセッツァーだけが別室になった。 部屋はいつもより少し小さく、それでも狭い中にベットが二つ並べられている。 ベットの一つに腰を下ろしながら、ロックはさも不満そうにこう声を出した。 「何だって俺とセッツァーだけ別室なんだよなあ?」 「仕方無いだろ、ベット足りないんだから」 いつも部屋決めをしているのはエドガーである。 ズル長のコートを脱ぎつつセッツァーはクスリ、と笑った。 「それより、早く寝た方が利口だと思うけどな?」 「いえてる!」 ロックは堪えきれず笑いながらそう声を出した。 フィガロ王国の陛下は、どういう訳か夜中に見回りをするのである。何故かは良く知らないが、癖なんだとか言っていた。何でもフィガロ王国は国王自ら見回りをするらしい。 それを聞いたときはたまげたものだが、エドガーならやりかねないと誰しもが納得をした。…勿論、本人は少し不満そうだったが。 それはともかくとして、いつまでも起きているとエドガーの雷が落ちるという仕組みがあるわけで、やはりセッツァーの言った通り早く寝るのが得策なのだった。 「でもさー折角だしさ…早く寝るのもつまんないよな」 いえてるとか何とか言った割りにそんな不満を漏らすロックに、セッツァーは低い笑いを漏らす。 そう、実はセッツァーはあるものを用意していたのである。 「こっそり購入してきたぜ」 「あ、酒!!」 元々は一人でしんみり飲むはずだったその酒を効果音つきで取り出したセッツァーは、ニヤリと笑った。 やはりこういう日は酒、である。 勿論その用意周到さにロックも大歓喜した。 「でかした、セッツァー!」 「だろ?」 じゃあ早速、といわんばかりに二人はその酒に手を出し始める。セッツァーはなかなか酒グルメで、それが良い酒だとロックも一発で分かった。普段、酒場などに出ても皆でいる手前そうそうグデグデに飲むわけにもいかない。勿論、女性陣も多いし、男としてそうできないというのも一つの理由である。 だからその日は、絶好のチャンスだった。 「うまい〜!」 「馬鹿、ロック。もっと味わって飲め。いい酒なんだからな」 「はいはい、分かってっるって」 そう言いつつもセッツァーもペースは速い。他愛無い話などを交えつつ飲んでいると、さすがにスルリと終わってしまう。 元々良い酒なだけに、どうも飲み口が良い。つまり、すんなり飲めてしまうという訳である。が、何と言っても良い酒というのは強い。 あまりに無茶をするとどうなるかは目に見えていた。…が、それでもついつい飲んでしまう二人であった。 しかしある一定の時間を越えると、ロックはセッツァーのグラスに酒を注ぐだけで自分は飲まないようになっていた。 そろそろ感覚もちょっと麻痺してきたかという頃になってそれに気付いたセッツァーは、渋い顔をしてロックにそれを指摘する。 「おい、お前飲んでなくないか?」 「そうか?そんなこと無いって。まあま、飲んでくれよ」 まんまとペースにハマってやはりグイ、と流し込んでしまう。それは結構に続き、とうとう一本をあけようという状態にまでなっていた。 さすがに―――――――視界がやばい。 そろそろ寝る時間か、そう思ってセッツァーは時計に目をやる。 時刻は夜中の三時。もうそろそろ寝ても良いかもしれない。 「ロック。まだ起きてる気か?」 そう聞いたセッツァーに、もう既に酔いなど冷めた様子のロックが、 「え?セッツァー、寝るのかよ?」 と少し不満げに言う。 「あー…さすがに酔った。悪いな。俺、寝るから」 「え〜」 文句を言いたげなロックをよそに、セッツァーは用意してあったベットの一つにゴロンと横になった。何だか目を開けているのも億劫な感じがして、半分目を閉じたりする。 酔ったまま寝るのは気持ちが良い…。 此処最近では早々無かったような気もする。 明日はもしかしたら起きられないかもな……そんなふうにセッツァーが考えていた時のことだった。
ゴソッ
何か音がする。 何かと思ったが目を開けて確認するのはやはり億劫で、その代わりに声を出して確認などしてみる。 「おい…ロック…何か、音しなかったか…?」 しかし、返事は無かった。 その代わりといっては何だが、何だか体に変な感触がある。何だか妙だな、とは思ったがどうにももう気持ちよく寝に入る体勢だし、そんなことはどうでも良いような気がした。 が。 そう思ったのも一瞬の事だった。 「…うわっ!!」 ザワリ、と首筋で何かがうごめいて思わず声を上げる。驚いてとうとう目を開けると、とても信じられない事にそこにはロックが乗っかっていた。 ―――――!!!? かなりパニックに陥ったセッツァーは、思わず上体を上げてロックに抗議し…… ようとした――――が。 「うわああっ!何だこれはっ!?」 驚いて顔が固まるのも無理は無かった。何故ってそこには、すっかり服を脱がされた自分の身体と、半裸状態のロックがいたのだから…。 セッツァーの上で、あからさまに「やばい」という顔をしていたロックは、諦めがついたのかセッツァーに向かって両手を合わせた。 「本っ当にごめんっ!!実はコレ、俺の仕業なんだっ!」 「は!?何だと?どういういう意味だよっ」 セッツァーにはとにかく訳が分からない。とにかく一番分からないのは自分が脱がされていることだった。そもそもこの部屋にはロックと自分しかいないわけで、自分で脱いだはずがないという事はつまり、消去法でいってロックが脱がしたとしか考えられないわけで。 とはいっても何でそうなる!?、というのが疑問だった。 ロックはセッツァーを見据えると、実は…、と切り出す。 「今日、俺とセッツァーだけこの部屋だろ。…俺、エドガーに頼んだんだよな、実は」 「…は…?」 「セッツァーと二人にして、ってさ」 「…何…い!?」 何でそんな訳の分からないことをするんだ!と叫びたかったが、その前にロックに先を越されてしまった。 ロックは幾分、真面目な顔つきをしている。 「…はっきり言ってさ、狙ってたんだよな。俺の事、どう思う?」 「ど、どう思うってそんな、男にそんなこと言われても…」 「でも俺さ、思うんだよ。ずっとこういう機会を狙ってたわけで、やっとそのチャンスが巡ってきたわけだろ。…って事は…」 そのロックの言葉の続きは、はっきり言って聴きたくないと思うセッツァーだったが、それでもつい恐る恐る聞いてみる。 「…って、事は…?」 そう言った瞬間、ロックは決心したように強く頷いた。
「俺はヤルっ!!!!」
―――――――少ししてセッツァーの悲鳴が響いたが、それはロックによって制御されてしまったのだった。
が。 問題はそれだけに収まらなかった。 何だかんだ言ってロックに押さえつけられて、その上かなりの痛みをもって侵入なんかをされてしまったセッツァーは、飲みすぎた酒のせいでどうも抵抗ができなかった。 身体が思うように動かないし、力が入らない。 結局、不本意且つ屈辱的に喘ぎ声なんかまで出してしまった以上は、もう抵抗する意思すらない状態であった。 そんなこんなでロック曰く愛あるその行為も終盤を迎えようとしていた頃、悪夢は起こったのだ。 廊下を歩く音。 けれどそれに二人は気付かなかった。 そして、ドアを開ける音。 それにも二人は気付かなかった。 しかし…。
「…お前ら、何してるんだ?」 ―――――さすがに二人もその声には気付いた。
ばっと振り向いてその人物を確認する。そして血の気が引いたのは言うまでもなく…。 「エ、エドガーっ!!」 そう、それは話題にものぼったエドガーの夜の巡回である。すっかりそのことを忘れていたロックは、セッツァーに重なったままで口をパクパクさせた。 セッツァーはというと、もうどうしようもなく落胆している……。 そんな二人の様子を見ながら、エドガーは不敵な笑いを漏らし、ポツリ、とこう呟いた。 「ほーう…なるほど、ねえ…。そういう訳か、ロック」 「え!あ、えっと!その、これはっ…」 「身体のお付き合いを深めていた、と…」 「そうそう!…って、違〜うっ!!!」 そんなやりとりを聞きながら、セッツァーは固く決心をしていた。
酒の飲みすぎとロックには注意しよう、と。
END
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