>>> オキザリ

あの日、宿った命は、
時を経て、廃れ、そして無残に忘れ去られた。
もう君は側にいないの?
もう君は必要としてくれないの?
あんなに一緒にいたのに、新しい生活ができたらサヨナラなの?
一緒に駆け抜けた時間は何だったの?

狭い空間で、陽の光を浴びることもなく、
ただそこでじっとしている。

かつて、確かにそこには気持ちが込められていたのに、
それさえ、あれは過去だから、と君は笑う。

君の気持ちを、和らげてあげたのに。
君の為に、頑張って戦ってきたのに。

「もうこれは、閉まっておこう」

もう思い出したくないから、そう言って君は、
狭く暗くジメジメした場所に置き去りにする。

そう、君はたったそれだけの為に気持ちを込めた。
そして、もう終わったからといって、過去を闇に葬る。
良い経験だったかもしれない、そんなふうに言う。
無責任だ。
無責任だ。
魂を宿しておいて、気持ちを込めておいて。

「これからは新しい生活を頑張るんだ」

そう言って君は笑う。
全てを忘れ、それが正しいことかのように、
今までを嘘のようにして。

幸せに、なろうとする。もがく。あがく。
全てを闇に葬って。


君が捨てた、過去の記憶。
この身体に残る、過去の記憶。
狭く暗くジメジメした場所に置き去りにされたこの体で祈ろう。
君の新しい生活に光があらんことを。

そして、その先に見えるものが。
どうか、闇でありますように。



置き去りの剣は、想う。
そして涙も流せずに、錆付いていく。
過去を残し、主に忘れ去られ、誰にも気付かれずに。

 

サヨナラとアリガトウと一つのキス
感謝を、全てのモノへ

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