|
カップル喫茶な人々 ****************************
今日はこれからとってもドキドキ体験をする…。 そう…それは、カップル喫茶! これ、色んなカップルが同じ空間でいちゃついちゃうっていう凄いトコなんだけど、何故かセフィロスに連れてこられたんだ。 当のセフィロスは、ルーファウス副社長に行こうといわれたらしい。 …で。 俺とセフィロス、ルーファウス副社長とタークスのツォンさんと此処にきたわけなんだけど、どうにも俺は落ち着かない…。 うー…だってだって、他の人から丸見えなんだよ!? そんなトコでいちゃつけないよ! 「クラウド…はっきり言って俺はこういうのは苦手だ」 「あ、やっぱり!?」 さすがはセフィロス!俺たちの意見は一緒だった。良かったあ…。 だ、だってセフィロスがヤル気満々だったらちょっと俺、どうして良いか分からなかったと思うし…。 「でもさ、副社長とツォンさんはどうなってるのかな?」 「ああ…。ツォンはかなり嫌がってたがなあ…」 「そうだよね、真面目そうだし」 此処にくる提案をしたのは副社長だったんだけど、ツォンさんは相当嫌がってたんだよね。それにしても副社長って実は露出狂なのかな…。 とか何とか言ってる間に、何だか周りのカップルがもぞもぞしてきた…うっ、やばい! キスしたりしてる…は、恥ずかしくないのかな…!? 俺はチラッとか見たりして、すぐに目を逸らす。 うわ〜うわ〜ディープキスだよ!あ、やばいよ、その手の位置! ちょっと待ってくれええ〜!! 「…何だか妙〜な雰囲気だな…」 「う、うん…」 俺とセフィロスは別に普通に隣り合って座ってるだけだったけど、周りのカップルの凄さに圧倒されてた。 もう既にキス通り越して服とか脱がせにかかってる…うっ、み、見て良いのかな…。 俺は何だか妙な気分になってきて、だけどそれも恥ずかしいし、また同じことをセフィロスに言った。 「ふ、二人は…まさか…し、しちゃってないよね…?」 勿論、副社長とツォンさんのこと。 「さあな…ツォンはともかくとしてルーファウスは目が輝いてたからな」 「確かに…」 「ちょっと覗くか」 「えっ!?」 俺が驚いている隙にセフィロスは敷居の隣にちょっと顔を出した。そう、二人は俺たちの真横の席にいるんだけど、敷居があって見えないようになってるんだ。 間取りとしては、こんな感じかな…。 これ、丁度、視線の先に別のカップルが見えるようになってるんだよね。
それはともかくとして、隣の副社長とツォンさんを覗いたセフィロスは…。 「ぶっ!」 ……途端に口を押さえて吹き出した。 な、何が起こってるんだっ!? 「セ、セフィロス。どういう事になってるの?」 俺が気になってそう聞くと、セフィロスはゲッソリした顔で空ろに笑った。 「見るか、クラウド?」 「ええっ!?」 「いや、後学の為に見といた方が良いぞ」 「こっ、後学…」 そそそそれは、どういう意味なんだろう!?…新たな●●●…!? 俺はドキマギしながらも、そっと隣の席を覗いた。ああ、良いのかな…こんなことして…。
「ツォン、此処は何だか凄いなあ。モグモグ…」 「は、はあ…」 「あ、このサンドウィッチは美味いぞ。ほれ、どうだお前も」 「結構ですっ!っていうか!何でこ〜んな壮絶なモン見ながら普通に食事できるんですかっ!?」 「は?だって此処は喫茶だろう?」 「いや…そーですけど!意味が違うんです、意味が!」 「えー…どういうふうに?…一回来たかっただけなのに、喫茶店…」 「ああっ!!目に涙ためないで下さいぃぃっ!!!」 「……じゃあ、食べるか?」 「わ、わかりましたよ…」 「ほれ」 「ううっ。…もぐもぐ…」 「美味しいか?」 「はあ…もぐもぐ…」 「あ、おい!そこのウェイトレス!何か魚料理は無いのか?どうも最近、胃がもたれててサッパリしたものが…にしても凄いなあ、その格好。恥かしく無いのか?」 「……ルーファウス様。その人、お客さんです…」 「あ、何だ。だったらそう言え。あ、それと風邪ひくぞ、そんな格好で」 「ああ〜…誰か…助けて…」
「どうだ?」 ふと後ろからセフィロスにそう聞かれて、俺は振り返った。 「……なんか、胃がもたれてるらしいよ」 「は?」 「副社長がそう言ってた」 「そ、そうか?」 「セフィロス…これのどこが後学の為になるの?」 俺にはさっぱり分からない気がするんだけど…。 「良いか、クラウド。あいつらは俺たちのいる神羅の幹部なんだ。幹部があれなんだぞ?…これの意味が分かるか?」 「…全然分かんない」 セフィロスは俺の言葉に無言になった。だ、だって分からないよ〜! 確かに副社長(かなり)ズレてるし、(大分)変だし、ツォンさん(死ぬほど)大変なんだろうなあとか思うけど、それはそれで良いんじゃ…ないのかなあ…とか思ってしまう俺って、やっぱ駄目なのかな…?? 「仕方無い。クラウド、教えてやろう…。―――――その心は!」 「そ…その心はっ!?」 ドキドキ…何なんだろう…!? そんな俺の目の前で、セフィロスはどこからともなく一冊の雑誌を取り出した。そして、それを俺にかざした。 それは――――――。 “高収入!今がチャンス!THE・転職サポートマガジン” 「…え?」 俺は目が点になった。 「そうだ、クラウド。時は満ちた。今こそ時期だ。転職だ、もう辞めてやる、神羅なんか」 「え、え、ええっ!?だって俺、せっかくソルジャー目指して…」 俺は焦ってそう言う。 っていうか、向かい側のカップルがゴソゴソしてるのが滅茶苦茶、気になるよう〜! でもでも、セフィロスは何だか妙に真面目に転職について語りだしたし、俺はどうしていいか分からなくなった。 ああ…気になる、気になる…でも転職…転職…気になる…ああ〜! そんなふうに俺が頭をぐるぐるさせてると、いきなり俺とセフィロスの席に女の人がやってきた。 どうも店員さんらしい。 「お待たせしました」 店員さんは、大皿のサンドウィッチをデン、と置いて帰っていく。な…何だ?? 俺の隣で転職について熱弁していたセフィロスはそれを見た途端に、目を点にさせた。 そ、そうだよね…確かに訳分からないよね…。だって俺たち、何も頼んでないんだもん。 「何だ、これ?」 「さ、さあ…」 俺たちが首を捻っていると、ふっとどこからか声がした。 ……君たちも喫茶店を堪能してくれ…… 「はっ!!」 「な、ななな何っ!?」 俺とセフィロスがふっと敷居の方を振り向くと、そこには副社長がいた。しかも、顔だけ覗かせてる……。 「私からだ。食べたまえ」 そう一言言って笑ってから、すっとその顔は去っていった。 「……」 「……」 た…食べれないよ、こんなところで…。 そう思ってそれを見つめてると、またふっと声がした。 ……す、すみません…許してやって下さい、こんな人なんです…ううっ…… 「……ツォンだな」 「そ、そうだね」 さすがにツォンさんは覗いてこなかった。普通はそりゃ、覗いたりしないよね。っていうか俺は覗いちゃったけど…。 とにかく俺とセフィロスの目の前には大皿のサンドウィッチと、“高収入!今がチャンス!THE・転職サポートマガジン”と、その先にはもうヤバイトコまで進んでるカップルがいた。 この状況って――――な、何かが違うような……。 「はあ…」 セフィロスは大きい溜息をついた。それから、俺の顔を見てこんなことを言い出した。 「クラウド、もう良い。俺たちも…」 「え、ええええっ!!?」 まだ最後まで言ってないっていうのに、俺は大いに焦った。 お、お、俺たちも!? “も”って何!? ま、まままさか、此処でHしちゃうつもり!? 無理だよ、絶対! 危険だよ、デンジャーだよ、セーブポイントなくてMP:0なのにHP:1って感じだよっっ!(意味不明) そんな混乱気味の俺にセフィロスは一言こう言った。
「食おう」
―――――――――は?
END
|